三匹のセミが江戸を斬らない
夜のウォーキングコースに少し離れた公園があるわけですが、この時期セミの幼虫が公園の歩道をのろのろ歩いています。羽化のための木を求めて。
あるときそのセミの幼虫が歩道をのろのろ歩いて来て縁石に少しよじ登るとポジショニングを決めはじめました。
なんかボルダリングの選手みたいに、「右手はここ、左足はここ」みたいな感じで。
オイオイ!そこで羽化するの?
地面から10センチくらいしかないよ。ノラネコとか来たら一巻の終わりだよ。大丈夫?
とは思ったのですが、自然の摂理に手を貸すのは何かいけない気がして、そっと見守りつつその日は公園をあとにしました。
翌日、その場所にヌケガラ。
お前、無事に羽化できたんかい! よかったのうワレ!
ちょっと嬉しかったです。これをまあ蝉一郎としましょう。
同日、すぐそばの歩道をまたのろのろ歩く蝉次郎の姿が。そのまま縁石を乗り越え、緑地の立て看板をよじ登りはじめました。
よく公園にある「公園内での注意事項」みたいなやつ。
ちょっと看板の裏にまわられると暗がりでまったく見えないので、自然の摂理に手を加えるのはいけないと思いつつ、携帯ライトで照らしてみると蝉次郎は看板の杭の陰にサッと隠れました。しかしこの看板も高さ1メートル程度で、とてもノラネコやノライヌから守られるとは思えない。
しかしこれ以上の詮索はやめようと思い、その日は公園をあとにしました。
翌日、看板の杭にヌケガラ。
お前、無事に羽化できたんかい! よかったのうワレ!
元は蝉次郎であったヌケガラにわかれを告げ、公園を半周くらいしていると歩道の上、枯れ葉を抱いて仰向けで寝るセミの幼虫を発見。蝉三郎と命名。
これあれかなー。縁石を超えて緑地に出て、さらに木を登ろうとして、枯れ葉の上を歩いていたらそのままひっくり返って寿命がつきたかな。これはさすがにちょっとかわいそうなのでコンクリの上ではなくせめて土の上にと拾い上げてみると手足を動かし始めました。
枯れ葉を取り除いて土の上に置くと一心不乱に歩き出す。これ以上干渉するのはやめようと、公園ウォーキングを再開。
1周して戻ってみるとなんか草むらにからまってまごまごしているようす。ドンクサイ奴。
自然の摂理に手を加えるのはいけないと思いつつ、そっと拾い上げて近くの丈夫な木の幹にそっと這わせてみると、
蝉三郎「これこれ…ヤッパこれよ」
とばかりに元気によじ登りはじめました。
もう1周して確認すると幹から枝、枝から葉へと歩を進め、大きな葉っぱの裏でポジショニングを決めている最中。
君、大丈夫?そこで羽化できる?
と思ったんですが、自然の摂理に(以下略)と、公園をあとにしました。
翌日、公園が大々的に清掃されていて、枯れ葉やゴミもろとも蝉一郎や蝉次郎のヌケガラも撤去されてました。
なので蝉三郎の去就はわからないまま。
蝉三郎、元気に飛んでいってくれたかなあ。
それが三連休の出来事でした。
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