ネタバレをせずに物語を伝えようとすると、逆に衒学的な文章になるという今日の反省(「オレ、凄いこと知ってるんだぜ。教えないけどな。チラッチラッ」みたいな)。
長男と二人で映画「沈黙のパレード」、見てきました。いい映画でした。
原作小説にまあまあ忠実に作られてますので特に不満は無いですが、あの長編小説を2時間ほどで終わらせねばならないので、ちょっと惜しいなというところはあります。
【惜しい点1】
何をどう書いても深刻なネタバレになりますので、ぼんやりした書き方にしかなりませんが、あの「たまたまそこにいた人物」が臥薪嘗胆の末いかにして「そこにいた」のかがじわじわ判明する小説版とくらべて、映画はいっきに判明するのがちょっと・・・。
1クール12話くらいのテレビドラマだったら9話目ラスト付近からじわじわ寄っていけますけどね。2時間で解決しなきゃならない映画だと難しいですね。でも配役も含め、良い感じだと思いますあの人物。誰とは言いませんが。
【惜しい点2】
1度目は幼女、2度目は若いお嬢さんを監禁し死に至らしめたとの容疑をかけられる人物「蓮沼」を村上淳さんが演じておられます。それなりにドブゲロクソ野郎感を出しているわけですが、村上さんはモデルから俳優に転向されてて若いころはイケメンだし、今も当然イケオジだしで隠しきれない清潔感と上品さが、あの蓮沼(ドブ野郎)っぽくないなあと。
【惜しい点3】
ファンの人は怒らないで聞いてください。小説の中でも端正な顔立ちとか書いてあったと思うんですが、主人公がイケメンすぎて周りの俳優さんたちがリアルに演じるとそれだけで浮いてくる気がします。これは昔から思ってることではありますが。湯川教授は物理学に関しては割と偏執狂なところがありますので、本当はもう少し綺麗じゃない人が演じるとリアリティ出るのかもしれない。
それくらいですかね。
以下、良い点。
・監督自身が絶賛する飯尾さんの「静かに怒りをたぎらせる被害者の父」の上手さ。「ぺっこり45度」とか「忍法メガネ残し」の人とは思えない重い怒り。こんな声だったっけというくらい、ドスが効いたグツグツとした怒りぶり。実に素晴らしい。
・終盤で容疑者集団から突然はずれて「一人容疑者状態」になったときのあの役者さんの悲壮感は、見てて痛ましいですね。なんでこの人こんなことしなきゃならないのかと。
・登場人物が多いですが、それぞれの時系列が整理されていて、素晴らしいです。定食屋にしれっとやって来た蓮沼を見てひとりだけそのタイミングではない表情を浮かべているところ。同じ映画を2度目に見てる坊っちゃんも、小説を先に読んでる私も「あ、すげえ、ひとりだけリアクションが違う人がいる」とニヤニヤする。
その他、書ききれないですが、良い点いっぱいあります。
主題歌も聞き減りしない素晴らしい出来上がりだと思います。
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