裏切らなかったのに裏切り者になる皮肉
恥知らずのパープルヘイズを読みました。
ジョジョの奇妙な冒険 第5部のスピンオフ小説です。
荒木さん本人が書かれたものではないので、私の中ではどう転んでも正史扱いにはできませんが、ファンの間では一定の評価を得ている作品のようです。
ええ……そうなん?
あらすじ【恥知らずのパープルヘイズ】
イタリアのギャング団内部で、かつての裏切り行為により「恥知らず」とあだ名されるフーゴ。贖罪の意味もかねて組織内の膿を出す仕事を仰せつかる。仲間なのか、見張りなのか2人の助っ人を従えて、あの日ジョルノ・ジョヴァーナを裏切ったフーゴは、自分を取り戻すことができるか?
石仮面もあるヨ。
とりあえず先に、知らない人のためにジョジョ5部のお話。
イタリアのギャング団(とはいうものの、街のゴタゴタを解決してくれるガラの悪い用心棒のようなスタンス)の新入りが、少しずつ人心を得て、ギャング団のボス(ひそかに麻薬を売って利益を得ていた悪い人)を倒し、自分がボスになるお話。
上記5部本編の途中で、本編主人公ジョルノの所属するチームがいよいよボスを裏切って打ち倒し、良いギャング団(?)になっていこうとしてるときに、ボスを裏切る勇気が持てず、主人公たちとたもとをわかち、ボス側に残ったフーゴという青年がこの小説の主人公。
ギャング団という組織から見たら本編主人公たちこそが裏切り者ですが、漫画の読者側から見たら、組織に残ったフーゴが裏切り者扱いとなります。
結局、自分が残った旧組織のボスは倒されてしまい、ジョルノが新ボスになってしまうので、新組織から見てもフーゴは裏切った男扱いなわけです。
で、ジョルノから贖罪的に、組織内に最後に残った「麻薬をひそかにさばいていたチーム」をあぶり出し討伐する任務を受けるというストーリー。
悪くはないんですけどね。
個人の感想ですが、本編とのリンクが多すぎて、ウンザリ。二次創作をやる人が、それを我慢できない気持ちはわかるんですが、料理人のトニオまでからめてこなくていーですよ。物語上、何の接点もないのに、イタリアのギャングの口から空条承太郎の名前が出てくるのには違和感アリアリだし。
石仮面も、出したからには使ってくれよと言いたい。使わないなら出さないでよとも言いたい。
登場人物の誰ひとりとて好感が持てないのもちょっとヤバイ。
好感の持てない人物の筆頭にカンノーロ・ムーロロという男がいますが、名前だけは声に出して言いたいほど好き。カンノーロ・ムーロロ。彼の群体スタンド、オール・アロング・ウォッチタワー(劇団〈見張り塔〉)というのも、名前も性能もイカス。
あくまで個人の感想ですが、4部のスピンオフ小説「THE・BOOK」の方が好き(あれもあれで完璧じゃないですが)。
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