火花なのか花火なのか
↑一応物語は花火で始まって花火で終わるんですけどね。
双吉さんの火バナを読みました。
前に言った私の言葉、撤回します。スクラップアンドナントカよりも、こっちのほうが純文学でした。
エンタメじゃないです。エンタメだったら、最後の方で予想外にブレイクして、てんてこ舞いてな感じにーってなりそうなもんですが、そこはやはり純文ですよ。ハッピーエンドにはならないです。
あらすじ【火花】
売れない漫才コンビ「スパークス」のボケ担当徳永は、花火大会の余興で呼ばれたはいいが、スベリ倒した漫才のステージで、別なベクトルでスベリ倒している先輩芸人「あほんだら」のボケ担当神谷に惹かれ、師匠と仰ぐ。
あがいても、もがいても、バラエティで少し名が売れるだけで、漫才で大成することができない徳永。売れることなくのたうちまわる漫才師達が、現れては消え、現れては消えという一発の花火にすらなれず、最後に一瞬だけ、小さな火花を飛ばして消えていく物語。
いやビックリするくらい暗い話でしたよ。スクラ・ナントカ・ビルドの後に読んでよかった。
売れない芸人の隠隠滅滅とした心象風景を延々と読むのはなかなかシンドイ。
ただ、最後の漫才は少し泣けた。個人的にはあの漫才シーンで終わってもよかった。
エピローグ無しの小説でもいいんじゃないかと思うんですが、まあ構成というか体裁っていうものがある程度必要なんですかね。最後の漫才のところで終わると、エンタメに近づいてダメなのかなと思わないでもないですが、私的にはあのエピローグは無いほうがいい。
・・・というところまで含めて、またよしさんの仕掛けたギミックなのかもしれませんが・・・
とにかく、この小説は、また吉さんにしか書けないと思います。一般的な小説家では、あそこまでリアルな芸人世界を描けない。そういう意味で、けして取った賞に恥じない内容であると思います。
この人の2作目(芸人話以外で)は気になります。
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