社労士の試験の中で、厚生年金法が一番難しいって、いつから勘違いしてた?
↑言ってみたいセリフ。なお真剣に難しい模様。
今日も、来た人おいてけぼりで話をすすめていきますが。
厚生年金保険法の中に、遺族厚生年金という、被保険者が死亡した際、被保険者によって生計を維持されていた者に支払われる年金の取り決めがあります。
遺族の範囲は誰でも良いというわけではなく、順位付きで以下の人に絞られます。
1位:配偶者&子
2位:父母
3位:孫
4位:祖父母
また、遺族厚生年金には、他の年金と違い、転給の制度がありません。
〔※転給⇒受給中1位の人間がいなくなった時、2位の人間に受給権が移動する〕
つまり被保険者死亡の当時で、受給できる資格者は確定してしまいます。そして「失権」という取り決めもあります。
上記のごとく1位だった「配偶者」の死亡や「子」の18才到達時。また、障害を持つ子供の20才到達(成人)、直系血族・姻族以外の者への養子。離縁等、色々あります。
ここまでが前提で、先日厚生年金保険法のテキストを読んでいて、
「??」
となったところがあります。
失権のうちの一つ、上記2位~4位の人限定で、
「被保険者(仮に夫の方)死亡時、胎児であった子の出生で失権」
この条件。
ここで、割と真剣に悩みました。
「胎児が生まれたらその『子』が1位になり、2位以下が失権するというのはまあわかる。しかし、胎児がいるってことは母体である配偶者が存在するってことじゃん。夫が死亡した時、妻がいる時点で、もともと2位以下の人に権利なんてなかったじゃん。この取り決めいらないじゃん」
と、考えつつも、どうにかしてこの条件が成立する可能性が無いか考えてみました。
五郎の仮定その1
「被保険者(夫)死亡時、配偶者(妻)も同時に死産。子だけ元気」
いやまあ、可能性としてゼロじゃないけど、こんな事例ごくわずかでしょ。わざわざ法文化しておかなくても、その時の裁判で判例を決めればいいんじゃないの?
五郎の仮定その2
「被保険者(夫)がこと切れる瞬間に、『妻と離婚する。生まれる子の親権は俺のもの』」
いや、これはもっと無いな。まず親権が取れそうにない。
と、あーでもないこーでもないと考えていて、ひとつ固そうな可能性に気づきました。
五郎の仮定その3
「婚外子の登場」
コレダ!
被保険者は配偶者ととうに別れ、子とも疎遠。つまり1位が2人ともいない。3位の孫だけは手元にいた。2位の父母も、なんと4位祖父母も元気。2位~4位の人たちが「すわ、遺族厚生年金の最上位者は自分か?」と色めき立つところに現れる、楚々とした着物のご婦人。
「被保険者さんと私は、婚姻関係はありませんでしたが、このたび産まれたこの子の事は認知してくれました」
という天一坊君の登場である。
これはまあ、ありそうといえばありそうだし、一番もめる状況だし。法文は認めてるんですよねえ。
事の是非はともかく、なんかすごく納得しました。
※なお、この私の仮定があってるかどうかは不明です。
「受給権者が父母、孫又は祖父母である場合は被保険者等の死亡の当時、胎児であった子が生まれたとき失権」
これは間違いないので、これだけ覚えていってください。
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