昨年末流行語大賞を逃した百条委員会
佐々木譲さんの「笑う警官」を読みました。
ものすげー、カタイカタイ警察小説かと思ってたんですが、ジャジーな感じと浪花節な感じをミックスした、エンタメ小説でした。
ただ、警察機構に関しての情報量はすさまじいものがあり、そこは色々と勉強になりました。
なお、今更な豆知識ですが、新刊時のタイトルは「うたう警官」で、映像化、文庫化にあわせて、わかりやすさ優先で「笑う警官」に改題したそうです。
※警察用語で「うたう」というのは「自白・自供する」という意味で、「警官が内部の腐敗構造をうたう」という意味がこめられてます。「自白する警官」というのがアイロニカルでマニアがニヤリというタイトルなんでしょうね。
あらすじ【笑う警官】
婦人警官が、殺された。容疑者としてあがったのは、警察の裏金作りの件で百条委員会で証言する予定の津久井だった。異例の「見つけ次第射殺許可」まで出ている。
あきらかな濡れ衣だ。
かつて津久井と組んで死線を渡ったことがある盟友佐伯は、「津久井が百条委員会でうたう前に亡き者にする」ために、警察内部からの圧力がかかっていると判断し、義を持って集まった勇士たちと、津久井が百条委員会に無事出席するまで守り抜くことを決意する。
八犬伝的というか、梁山泊的というか、一芸に秀でた者たちが寄り集まってきて、巨悪に立ち向かうという構造は、そりゃ盛り上がりますよね。面白かったです。
「警官の血」とか読んでみようかな。
まあとりあえず、百条委員会というのがもの凄い強権だということがよくわかりました。
「カバンに入りませんよ」
「押し込んでください」
「むりですね」
「こうするんです」
みたいな牧歌的な雰囲気じゃ済まされない委員会のようです。
そろそろクリスティさんの作品読みに戻ろうかな。
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コメント
あけましておめでとうございます^^
百条委員会がニュースで出た時、その名前のものものしさと(他の数字でなく百ってところがすごいですよね)、現れ方の唐突さゆえ、まるで少年漫画のとっておきの必殺技のように感じられたことで、
百条委員会にはどこかファンタジー系ゲーム(もしくはライトノベル)の用語のようなイメージを持ってしまっていますが、
こうして小説に書かれるほど、権威のある制度なんですね。
それだけのものならば、すぐ辞めちゃったのも納得ですねえ。なるほど。
投稿: かもねぎ | 2014年1月 8日 (水) 14時39分
かもねぎさん、あけましておめでとうございます!
>ファンタジー
そうですよね^^
どっかの城の円卓にフードかぶった5人くらいが座ってて、
A「ククク、こんなに早く呼び出されるとはな」
B「何百年ぶりですかな」
C「フシュー・・・フシュー・・・」
D「今日中にもうひと銀河滅ぼしておきたいんだがな」
E「おいおい、仲良しクラブじゃないんだぜ」
みたいな、少年漫画お約束の委員会みたいですよね。
百条委員会は、かなりものものしい委員会のようです。偽証とか、資料提出の拒否とかが即、罰則や禁固刑につながるようで、
「さっきそこで作ってきたかのような借用書」や、「カバンに入れてみたもののチャックがしまらない」なんかじゃとても乗り切れないところのようです。
もう失墜した権威は取り戻せないんだから、いっそ出廷してぜんぶぶちまけてしまえば、少しは人間性を回復するチャンスがあったのかもしれませんが、まああの人以外の人も(多分)大勢困るんで、辞めちゃったんでしょうね。
今年もよろしくお願いいたします。
投稿: 早瀬五郎 | 2014年1月 8日 (水) 19時07分