ラスト二人、改変
※若干ネタバレ気味ですが、そのものズバリは書きません。ネタバレは1㍉もダメって人はスルー星人で。
誘惑に負けて、ついに買ってしまいました。
映画版「そして誰もいなくなった」。
調べてみると、意外と何度も映画化されているようで、今回私がアマゾンさんの助けを借りて購入したのは1945年版。
私が子供の頃、日曜洋画劇場で見たバージョン(多分1974年版)よりも、さらに古いもののようです。
面白かったですねえ。
人物名が若干変わってますが、8人目までは原作にものすごく忠実に作られていると思います。
6人目が燻製のニシンに飲まれ、7人目が熊に抱きしめられてか~ら~の~
残り二人が改変ですね。
もう言ってしまいますが、何も知らず小説読んでる人が、「ああ、この二人がヒーローとヒロインだな」と思わせる、9人目ロンバートと10人目ヴェラが、実は別々な思惑で「●●なロンバート」と「■■なヴェラ」がインディアン島にやってきているので、犯人の想定とはズレが出てくるわけです。だから、二人は死のルールから取りこぼされ・・・
いや、これ以上は書かないほうが良いのかも。映画版の内容は調べれば、だいたい誰かが書いてますし。
ともかく、そういう改変も含めて、良く出来た面白い映画だと思います。
そしてもっとも重要なポイントなんですけど、
コメディ風味なんですよねえ・・・
原作の、あの緊迫した「居合わせた誰も信用できない」というテンションはではなく、ちょっと乱暴な言い方をすると、「上品なドリフのコント」という印象も無くは無いです。
それでもなお面白い。けして、「ふざけるなコノヤロウ」という印象にはならない。
マカーサー将軍が、老人すぎて、いちいち誰かに聞き返すのに笑える。
ロンバートの部屋を続き部屋のブロアがのぞいていて、そのブロアの部屋を廊下からアームストロングが除いて、そのアームストロングを廊下のかどから判事が見て、ロンバートが別ドアから外廊下に出て、廊下向こうを眺めてる判事に気付いて、判事を追う。ロンバートがいなくなりブロアが追う。ブロアがいなくなりアームストロングが追う。各人がいなくなった相手を追いかけていくうちに廊下に一列になってしまう。
「なんだこのコント状態」
一応、緊迫してるんですけどね。
3人でのんきにビリヤードしてる最中に誰か一人抜けただけで、残った二人はキューを握り締めて相手を軽く威嚇するw
「それ以上近づくな」
「いや俺は犯人じゃない。お前こそ近づくな」
このへん、役者の演技が絶妙で笑える。
そんな中、ある人物がある人物へ
「お互い正直になろうじゃないか。君に提案がある」
と、小説では説明だけで済まされてしまう「燻製のニシン」のくだりを絵で見せてくれるのがすばらしいです。
非常に惜しいのは、昔むかしの白黒映画なので、明るいところは白飛びしてるし、暗闇のシーンは本当に暗いしで、美麗な映像に慣らされた目にはなかなかつらい(それも味なんだというご意見はごもっともです)。
楽しめました。オチがわかってても、なお面白い。10人の演技巧者の勝利だと思います。
| 固定リンク | 0
「読書班-アガサ棚」カテゴリの記事
- お笑い用語で言うところの天丼というやつ(2021.03.23)
- フジにしては渋いところをついてきた(2021.03.05)
- 怪作登場(2019.04.17)
- テレアサ春のアガサまつり(2019.03.14)
- 未読の人の視点が理解できました(2018.04.23)
コメント