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2013年5月16日 (木)

丸い卵も切りようで刺客

藤沢周平さんの「刺客 用心棒日月抄を読みました。
続き物、用心棒日月抄シリーズの中ほどの一編でしたが、前後の話と骨格上のつながりは薄いので、気にせず読めます。
Zm130516

そして・・・

驚いたんですが・・・

超優良エンタメ小説でした。

前回「暗殺の年輪」という短編集を読んだんですが、わりと救いの無い話ばかりだったんですよ。
それが今回は、
・超人VS超人
・恋バナあり
・ハッピーエンド

と、読んでて「藤沢さんどうしちゃったの?」と、変な気をまわすほどの振れ幅でした。

もちろん超絶娯楽エンタメだからと言って、「大衆に堕した」みたいなことではなく、主人公と刺客の対決シーンはどれも面白いし、政変の首謀者をあぶりだすという縦軸も良い。
主人公・又八郎の相棒、垢じみた巨漢ブサイク侍・細谷源太夫も愛嬌があって好き。

あらすじ「刺客 用心棒日月抄」
現藩主を亡き者にして、自ら藩主に成り代わろうとくわだてる黒幕が、江戸に刺客を5人送った。政変を食い止めるため、家老谷口の命を受け、我らがヒーロー青江又八郎は「隠密行動」のため脱藩して浪人となり刺客を追う。
がしかし、浪人となった青江は明日のオマンマにも困る身の上。江戸の口入屋から用心棒仕事をあっせんしてもらいながら、刺客との対決も繰り広げなければならない。家老谷口の娘兼女忍者ともイチャイチャしなければならない。忙しい。

面白いんですよ。5人の刺客との切ったはったの長編小説ですが、実は日銭稼ぎの用心棒仕事がつづられた短編集になってます。少し違いますがシティーハンターみたいな感じ。垢じみたセクハラ侍・細谷とともに、夜盗を懲らしめたり、結ばれない若いカップルの後押しをしたりという手間仕事の合間に、
「編み笠の男が立ちはだかった。誰あろう刺客の何某である。何々流のながれをくむ剣の使い手で~」
みたいな説明とともに、刺客がひとりずつバーンと登場し、主人公に切られていく。

刺客がこれまた適役なのに、全員正々堂々としてて好感持てます。切られますけど。

刺客の中でも随一と冒頭から言われ続けてた筒井に、クライマックスで果し合いを申し込まれ、読むほうとしてもいよいよ盛り上がってるところに、元金貸しの因業婆の用心棒を頼まれて、刺客との約束の刻限にちょっと遅刻する始末。
筒井「遅かったではないか」
青江「スマンスマン!前の用が長引いた。さあ、はじめるか」
で、お互い命ギリギリの死闘。

こんな面白い小説、今まで放っておいた自分が悔やまれる。
藤沢さんの小説はもっと読んでいこう。少なくとも用心棒日月抄のほかの話も全部読みたい。

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