実はここにいるヘイスティングズは火のついたタバコを5本口の中に入れたまま、火を消さずにオレンジジュースを飲むことができます
ポアロ「さ、さっそくはじめてもらいましょう」
ヘイス「(どうしてそんなムチャ振りを!)」
と私は心の中で叫んだ。
こんなやりとりはありませんでしたが、ポアロ物にはやっぱりヘイスティングズ君必要だなと痛感した1本です。
クリスティさんの「邪悪の家」を読みました。ポアロ物です。
今回もポアロさんはカボチャ栽培へのこだわりを見せたり、ことあるごとにまわりから老人扱いされていたりして、「引退か、隠居か」とシリーズ終盤を思わせるんですが、「邪悪の家」はポアロシリーズではわりと序盤なんですよねえ。
ちなみにもう、新訳版しか残ってなくて、この表紙。オシャレな写真の旧版が良かったのに…
あらすじ【邪悪の家】
事故か故意か、3度命の危険にさらされる古い館の若き女主人ニック・バックリーの護衛をポアロは買って出る。ヘイスティングズも鼻の下は伸びている。ニックの友人である若妻、近所の豪州出身老夫婦、ニックの彼氏気取りの男、辛気臭い弁護士など、あやしい人物は大勢。ニックが警護代わりに遠隔地から呼んだ、いとこのマギー・バックリーが花火大会の夜、銃殺される。ニックのショールを借りていたため、狙撃犯に間違えられた可能性が…
あらすじだけ見ると、なんのことやらですが、面白かったです。
久しぶりにクリスティーさんらしい「王道破りの王道」でした。ヘイスティングズもブレの無いダメ人間ぶりを発揮しつつ、最後に最大のヒントを何気なくポアロに与え、良い仕事しました。
あのヘイスティングズのくだらない無駄話からポアロがたどり着いた犯人の動機とトリックまで見破る読者がいたら、それはもうクリスティーさんと同格の推理キ○ガイ(ほめ言葉です)。
あー、こういうの読みたかったですよ。
前述のごとく、この作品はかなり初期の作品です。なのに、こんなセオリー破り作品が来るとは、思いもしませんでした。
こんな裏切られ方、もっと体験したい。
最後、全員を一同に集めて「今から謎解きやりますよ」のあたりでヘイスティングズに無茶振りするポアロさんと、ヘイスティングズの狼狽ぶりが可笑しい。
ここ、読んでてガチで吹きますよw
さー次、何読もうかなあ。もう少し、ポアロ物を片付けたら、「カーテン」読もうかな。
残り22本。
12:メソポタミヤの殺人
14:もの言えぬ証人
15:ナイルに死す
28:鳩のなかの猫
29:複数の時計
31:ハロウィーン・パーティ
33:カーテン
46:スリーピング・マーダー
50:運命の裏木戸
53:謎のクィン氏
55:死の猟犬
73:チムニーズ館の秘密
74:七つの時計
75:愛の旋律
77:未完の肖像
83:死が最後にやってくる
84:忘られぬ死
88:バグダッドの秘密
89:娘は娘
90:死への旅
91:愛の重さ
96:フランクフルトへの乗客
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