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2012年2月13日 (月)

誰もたどりつけない、天才が見る景色

橋本長道さんの「サラの柔らかな香車」を読みました。
Zm120213_01
「香車は硬いんじゃねえの?」という、万人の注意をひく題名、すばらしいと思います。

あらすじ【サラの柔らかな香車】
プロ棋士を目指す将棋指しが集まる奨励会を、脱落した者、とどまっている者、奨励会を目指す者、色んな指し手がいる中、金髪碧眼の少女サラは、凡人に理解できない指し方で、対戦相手を次々なぎ倒していく。

才能とは? 天才とは? ということに論理的説明をつけようとする試みの小説です。

とか、そういう小難しいことを抜きにして、将棋のシーンが面白すぎる。
私は、金と銀の駒の動かし方が怪しいレベルの素人(それ以外の駒の挙動はたぶん間違ってないはず)ですが、それでも将棋のシーンは盛り上がります。
バトル物を読んでいるような高揚感。
擬人化まで行かない、適度に抑えられた駒の描写※。
※たぶん、駒を擬人化すると、寒い&恥ずい小説になるはず

あっという間に読みきってしましました。
去年の小説すばる新人賞受賞作で、そのときの審査の皆さんが異口同音におっしゃっていた「視点と時間の移動による読みにくさ」があるんですが、読み手次第という気もします。

この小説以上に混乱する小説は他にたくさんありますし。

これだけ将棋のことを細かく書けて、しかも文章が上手い小説家が他にいるか? となると、それは非常に疑問なので、受賞は当然かなあと感じました。

こんなこと私が言うのもなんですが、登場人物はもう少し減らせるかも…と思わないでもないです。
というより、長編にして、それぞれの人物をもっと濃密に書けば、さらに良くなる小説かもしれません。

ザクザク読んでいきます。色んなジャンルを。

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コメント

著者の次回作が将棋小説だったら絶対に買いですね!

なんたってプロ棋士を目指していた方ですからね。
迫真の描写に引き込まれました。
最近、「サラの柔らかな香車」で人気出てきたんでしょうか、
↓のサイトですごい詳しく橋本さんを解説してるのを
みつけてしまいました。
http:// www.b(略

これから数十年間は、作家業一筋ですすむ覚悟があれば、
それなりに活躍が期待されているそうです。
続編とか楽しみですね~。

投稿: 絵美 | 2012年2月18日 (土) 21時35分

絵美さんこんばんは。
いきなりURLはご勘弁を。

コメントありがとうございます。
どういう趣旨のご活動かわかりませんが、


頑張ってください。

投稿: 早瀬五郎 | 2012年2月18日 (土) 22時31分

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