アクロイド殺しのディクタフォンくらいまで行くと逆に古さを感じなくなる
先に言い切ってしまいますが、今日の文章、「若者文化はだめ、成熟した文化がえらい」て言ってるわけではないですよ。
昨年末の話になりますが、村山由佳さんの「天使の卵エンジェルズ・エッグ」という小説を読みました。
結論から言いますと、40代半ばのオッサンが読む本ではなかったです。
17~19歳くらいの人が読むのにちょうどいい感じ。
これは年齢差別とか、そんな安っぽい意味ではなく、私も19くらいの頃に読んでいれば、ハマれたかもしれない。
それを脇に置いても、流行り廃りに左右されない文体というのは、やはり強力だなと思います。
川本三郎さんのエッセイだか評論だか、インタビューだかで、
「風俗上の流行り言葉、知的流行語などなるべく使わない」
「饒舌体や軽薄体といった文章を嫌う」
というのがありました。
ものすごく同感。と、いいつつ、私のブログなんかの文章はごらんのとおり軽薄体の饒舌体ですけどね。
そうなんですよね。誰とは言わないですが、若者目線の文化や風俗を取り入れたトンガった小説って、その旬のときに爆発的にヒットするんでしょうけど、10年たって読み直したときツライですよね。
山田トン平はネカフェの一室に陣取ると、スマフォを器用に操作し、目当ての企業のホムペの管理権限をサクッと取得。機密情報になんなくアクセスした。
ゲットした内容はメモカにカキコし、今度はヤフオクにアクセス~~
とか、ここまでヒドイ小説はなかなか無いでしょうけど、たぶん10年後読んだらツライですよ。スマフォが10年後あるかどうかもわかんないですし。
そういう意味で、冒頭の村山さんの「天使の卵」は1994年初出にもかかわらず、今読んでも古さは感じないです。
ちなみにこの作品は第6回小説すばる新人賞受賞作。
そのときの選考委員は、阿刀田高さん、五木寛之さん、田辺聖子さん、渡辺淳一さん。
皆さん、感性がお若いんですね。あのほろ苦く甘酸っぱく切ない恋愛小説を、五木寛之さんが熟読している姿がなかなか想像できないです。
最近の応募作ならラノベっぽいものもあると思うんですが、そんなのも咀嚼しながら読んでるのかなあ・・・あ、でもラノベ文体だったら最終選考まで残らないか。
今年はもっともっと読書したい。
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