髪結いの浅次郎さんが途中からイッコーさんで脳内再生され始めて困る
宮部みゆきさんの「おまえさん上・下巻」を読み終えました。
井筒平四郎のシリーズはどれもサスペンスやミステリーの味わいを出しながら、最終的には柔らかい着地をさせるので好きです。
あからさまな大団円は実は嫌いな方なんですが、井筒さんのシリーズはこれでいいです。いや、これがいいです。
あらすじ【おまえさん】
往来で背中から一太刀に切り殺されていた素っ町人。調剤室で背中から一太刀に切り殺されていた薬屋の主人。川に浮かんだ夜鷹の死体もまた、背中から一太刀で切り殺されていた。つながらない3人と犯人を結ぶのは何か?井筒平四郎の甥で河合屋の五男で超絶美少年の弓之助が、誰も気付かなかった犯人を推理だけで割り出す。
上巻も下巻も、そうとうなボリュームなんですが、まー宮部さんの本なので、難なくスイスイ読めます。
かといって平日午前2時まで読んではいけません。
今日は早く寝ます。
(でも残り200ページくらいになると、もうブレーキ踏めないですよねえ・・・)
平四郎、弓之助、三太郎、政五郎、お徳さんと「ぼんくら」「日暮し」からのレギュラー陣もいっさい欠けることなく登場し、満足の活躍を見せますが、さらに今作から河合屋の五男・弓之助の兄、三男・淳三郎と、平四郎とタッグを組む若い同心間島信之輔が加わり、物語により厚みをもたせてます。
超絶頭脳に加え、登場する女性陣をほぼ全員虜にする美少年・弓之助も、たいがいファンタジーなんですが、その兄の淳三郎はさらにファンタジーでした。
そうだ、今までの井筒さんのシリーズで、このキャラクターはいなかったですわ。美形はたくさん出てきた記憶はありますが、「美形で、コミュ力が甚大で、軽く(←ここ重要)、馬鹿っぽく見えて実は頭が良く、品がある」この難しいカテゴリーのキャラはいなかったですよ。
仮面ライダーフォーゼのジェイクに物凄い頭脳をプラスした感じ。
淳三郎、面白かったです。チラとだけ出てきた長男と、次男、四男の出番は今後あるのか?
で、今作の主役「間島信之輔」の登場です。
読む人によって違いはあると思いますが、私は間島様が主人公だと思ってます(井筒の旦那は進行役)。
最初の小さな乱闘事件に、目に鮮やかな十手術を引っさげて颯爽と登場し。
途中メイン事件とのかかわりにおいて懊悩し。
最後に謎のままだった十手術の最終奥義で締める。
カッコイイ!
・・・しかし・・・イケメンじゃないんですよ。むしろ顔の出来は作中で常に残念と評されるほど。
宮部さんの作品で主要キャラが容姿がよくないって珍しいですね。
平四郎がなにかにつけ「(これでもう少しだけ顔が良ければ・・・)」と嘆くほど。
【おまえさん上巻】
おまえさん一~十八
【おまえさん下巻】
おまえさん十九~二十一
残り柿
転び神
磯の鮑
犬おどし
最後まで読み終えてサブタイを並べると、「おお!」と、なかなか来るものがあります。
犬おどし、なるほどねえ。転び神、なるほどねえ・・・
磯のあわびの片思い・・・悲しいねえ。
面白かったです。お徳さんの料理描写が少なめなのがちょっとだけ残念。
井筒さんの次のシリーズがあるとして、間島様はもう出ないのかな。レギュラー陣というよりは、「主役にしてゲストキャラクター」そんな扱いです。
あと、絵に描いたような三男坊・淳三郎はあのままでいいんですが、弓之助さんはそろそろ進路を決めてほしいです^^
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