また、虎の妖怪ですか
ブログネタ: 1つだけ魔法を使えるなら、どれがいい?
どれも捨てがたいですね。しかし西遊記読んでると、悟空の(72通りといいながら)何にでも化けられる能力はいいなあと思います。
そんなブログネタ消費枕話はともかく、ざくざく行っとかないと、色々あとがつかえてる西遊記広めようシリーズです。
虎力大仙、鹿力大仙、羊力大仙の話は、44回、45回、46回と3回で終わりますが、スミマセン。46回は次回にまわします。
今回の44回と45回は(充分ボリュームあるんですが)あくまで前哨戦で、46回と一緒にするにはモッタイナイ気がしました。
46回自体がそれなりに長大ですしね。
実質、八戒や悟浄よりも貢献している4龍王の活躍にもご期待ください。
第四十四回
三蔵 車を曳く僧に逢うこと
悟空 真の気は体を運ること
三蔵一行は車遅国という国に到着。ここは道士が僧侶をこき使っている国。
偵察に出た悟空は500人もの僧侶をこき使って荷運びさせていた二人の道士から聞き込み(もちろん得意の老道士に変装済み)。
道士「20年前、この国がひどい日照りに見舞われたとき、僧侶たちが雨乞いをしたが、雨の一滴も降らなかった。しかしそこへ現れた3人の仙人『虎力大仙、鹿力大仙、羊力大仙』が雨を降らせ、国を救ったのだ。それ以来、3大仙は国王と昵懇である。そういうことで、この国は道士が偉く、僧侶は奴隷なのだ」
道士(悟空)「あの500人の僧侶は全員、私の身内です(←でまかせ)釈放してもらえませんか」
道士「ならん!」
道士(悟空)「そこをどうか!」
道士「ならん!」
道士(悟空)「よしわかった」
悟空は、耳から腕よりも太い棒を引き出すや、道士ふたりの頬をかるくなでると、もはやふたりの死体。
奴隷体質が身についていた500人僧侶たちは、ひどいことになったとあわてる。
僧侶「なんてこった、斉天大聖様が助けにきてくれるまでの辛抱だったのに」
道士(悟空)「何言ってんだ。俺が斉天大聖その人だ…いや待て、なんでお前ら斉天大聖のことを知ってる?」
僧侶「いや、アンタは斉天大聖の顔と違う。大聖の顔は太白金星という人が、皆の夢に現れて教えてくれた、そしてその大聖が今の奴隷状態から救い出してくれると…
あのねー斉天大聖はねー
目が充血してて光っててねー
毛だらけの顔にむき出しの歯でねー
棒を使うのが得意なんよー
て、おっしゃった」
悟空、苦笑い。
「(あの太白金星のアホめ、こんな凡百どころか500人の凡僧侶に俺の個人情報をバラしやがって!」
悟空は変装していた道士の姿から元の姿に戻り、僧侶全員を納得させると、自分の毛を何本か抜いてこまかく噛み砕き全員にひとかけらずつ渡し、
「命が危なくなったらその毛を投げて斉天大聖!と叫べ。俺の分身がお前たちを守ってくれる。俺が今からその3大仙の化けの皮をはがしてくるから、いいというまで、おのおの隠れていろ」
僧侶たちを逃がしたあと、悟空は三蔵の元に戻り、やはり太白金星から夢のお告げを聞いたという僧侶がいる破れ寺・智淵寺に身をよせ、その夜10時。
笛や太鼓の音に気づいた悟空が外に出て様子を探ると7~800人の道士が祭殿で星まつりをしている模様。中の3人の道士がどうやら虎力、鹿力、羊力大仙とあたりをつけた悟空は、八戒、悟浄を呼びつけ、3人でコッソリ偵察。
悟空が祭殿にむけて息を吐くと、灯火いっさいが消え、あたりは暗闇に。
虎力大仙「弟子たちよ、神風により灯火も消えたので、今日は散会といたす」
悟空たちは無人になった祭殿に忍び込むと、祭ってあった3つの巨像にそれぞれが化け
(元始天尊→悟空、霊宝道君→悟浄、太上老君→八戒)
もとの像はトイレに投棄(原文通りです)したうえ、お供物をイタダキマース。
見回りに来た下っ端道士がこの喧騒を聞き、虎力大仙に注進。
虎力大仙「なに?曲者じゃと?」
というところで次回へ。
西遊記は乱暴に言うと主に「アクション話」と「バカ話」と「下品話」の3つに分かれますが、次回45回が「下品話+バカ話」、46回が「バカ話」です。
第四十五回
三清観に大聖 名を留めること
車遅国に猴王 法を顕わすこと
3大仙が様子見に来て、悟空たちは逃げる機会を失い巨像に化けたまま、じっとガマン。
お供物が喰い散らかされているのを見た3大仙は天尊が来られたのだと、いいように解釈して、再びお祭り再開。
虎力大仙「~言上は長いんでカット~どうか天尊殿、金丹と聖水を賜りたく」
と、巨像に向かって懇願。
悟空たち、どうにかしないと道士たちが散会しないので、適当に相手をすることに。
元始天尊(悟空)「今日は金丹も聖水も持ってきてない!あきらめてくれ」
虎力大仙、ついに巨像からお告げまで聞いてしまい、有頂天。
「いやいや、なにとぞ、不老長生の教えを賜りたく」
元始天尊(悟空)「(しょうがねえなあ、聖水やるか)」
太上老君(八戒)「(そんなもん、どこに持ってきてるんだよ)」
元始天尊(悟空)「(まあ、見てなって)では、聖水を授けよう。器を持て」
3巨像の前にカメや鉢が置かれます。
元始天尊(悟空)「天機が洩れてはならん、お前たちは正殿より出て、固く扉を閉めよ」
道士一同、ハハーと平伏して出て行くや、悟空はカメに向かって「いやーたまってたのよ」と放尿。
八戒「アニキよ、ようやくあんたと趣味があってきたよ」
八戒喜んで放尿。悟浄も続いて。
元始天尊(悟空)「虎力大仙たちよ!聖水を拝領せよ」
3大仙も道士たちも飛んできて、まずは虎力大仙がありがたく杯に受けて味見。
虎力大仙「うー・・・ん・・・まあ、正直、美味しくはないのぅ」
羊力大仙「なんだか、豚の小便のような味が(←ビンゴ!てか、豚の小便の味をなぜ知っているのかお前)」
悟空たち、もはやこれまでと、本性を現すと、打ちかかる一同をかわして空のかなたへ逃走。智淵寺に戻ってきて床に就く。
翌朝。そんな夜中の大騒動を知るはずもない三蔵は、弟子3人を引き連れて、通行手形に印鑑をもらうため車遅国国王の前へ。当然の如く、国王の側にはべる3大仙に悟空たちは見つかり、あやうく死刑を言い渡されるところで、全然別件で雨乞い依頼が舞い込み、なんかモメてるうちに、虎力大仙と三蔵で雨乞い対決をすることに。
虎力大仙が壇上にあがり、護符を燃やしてなにやら唱え始めると、はや上空は風がびゅうびゅう吹きはじる。
悟空はすかさず自分の身代わりをそこに立たせ、自分は上空に飛び上がり大喝。
悟空「風を吹かせてるヤツはどこのどいつだ!」
大慌てで風婆々と息子の巽二郎(風神の母子。冠二郎では無い)が飛んで来て風が詰まった袋の口を閉じて平身低頭ご挨拶。
風婆々「大聖様、まさかおいでとは存じませんで」
悟空「挨拶はいい!あの虎野郎が呪文を唱えている間にそよ風の『そ』の字でも吹かそうもんなら、お前ら20回ずつ棒の餌食だ」
風婆々&巽二郎「へへぇーー!完全無風を貫きます!」
こちら地上。
八戒「よぉよぉ!大仙の旦那、少しばかりそよ風が吹いたらもう止んだぞ!辞めちまえ詐欺師ー!」
壇上の虎力大仙、「どうも今日は風の調子が悪いようですわい」とあぶら汗を流しながら2枚目の護符を燃やすと、上空にわかに掻き曇り・・・
推雲童子と佈霧郎君が護符と呪文に誘われて、何も考えずに雲をあたりに撒いていると、ちょっとありえないくらいのキレ顔をした斉天大聖が目の前に。
悟空「お前ら!あの虎力大仙の側に着くということは、斉天大聖様に喧嘩を売るのと同じことだ。さあ、この棒を20ずつ食らえ!」
推雲童子&佈霧郎君「めめめめ滅相もございません!すぐ雲を納めます!まさか、下界でそのようなことになっていようとは・・・虎力大仙が唱えている間は、快晴、ドピーカン、海水浴日和で、お届けします」
さて地上。
八戒「風も無風、空は抜けるような青空、あんた晴れ祈祷師かい!」
虎力大仙、目をシロクロさせながら、3枚目の護符を燃やしますと、いよいよ南天門から登天君が雷公雷母とともにお出まし・・・するやいなや、目の前には怒髪天をつく勢いの悟空。
悟空「今日は命のいらないやつが大勢いるらしいな!」
登天君「ままま、待ってください!ヤツらの術自体はホンモノで、これは玉帝も無視するわけにはいかず、私どもの仕事も、正式な辞令に沿ったことなんです」
悟空「まあ、怒りは納めてやる。だが、カミナリを鳴らすのは少し待て!」
そして地上。
八戒「早く雨をお願いしますよー大仙様ー。干物になっちまいますよー」
虎力大仙、生汗を5万ガロン出しながら4枚目の護符を燃やします。
ついに上空には、おなじみ東海、西海、北海、南海の4龍王がお出まし。
悟空「ドジョウ4匹!いよいよ俺様に喧嘩売りに来たか!」
東海「まじめに仕事してるだけなのにコレダヨ・・・いや、大聖殿、やつの術だけはホンモノです。しかし今だけは曲げて大聖殿の指示に従いますので、どうかご勘弁を」
悟空は素直に引き下がると、西海龍王に耳打ち
悟空「こないだは、あんたの息子のおかげで助かったよ!」
※前回の黒水河の話
西海「あの甥っ子はまだ海中に鎖で縛り付けております。大聖のご指示を頂いてから処分致します」
悟空「いや、処分はまかせるよw今回もよろしくな!」
地上は本当に雨のあの字も感じられない快晴。
八戒「引っ込めー『降る降る詐欺』のオッサンー!」
虎力大仙「きょ、今日は龍王の皆さんもお留守のようです・・・雨を降らせられず申し訳ない。ギブアップです」
変わって三蔵が登壇。事前に悟空から、「適当にお経を唱えておいてください。あとは全部こっちでやります」との指示通り、静に壇上で読経。
空に控えた悟空が風婆々と巽二郎を睨みつけると二人は力の限り風の入った袋を振りまくり。
地上は激しい暴風で、皆、まともに立っていられない。
悟空が推雲童子と佈霧郎君に指示を出すと、二人でありったけの雲と霧を発生させ、地上はほんの数メートル先も見えない濃霧と上空には厚い雲。
悟空の指示を待ちかねた登天君、雷公雷母が電光サンダーボルト作戦。
悟空「4龍王殿、お願いします」
上空には4匹の龍が現じ、怒涛の雨が地上に注ぐ。
龍の姿まで見られて国王以下居合わせた全員が天を仰いで大喜び(3大仙除く)。
悟空は、風、雲、霧、雷と4龍王に礼をいい、地上に戻ってきて知らぬ顔。
国王はもはや、通行手形に押印して、喝采とともに三蔵一行を送り出そうとしておりますが、3大仙、まったく面白くありません。「待て待て待てーい!」というところで次回へ。
トラ!シロジカ!ヒツジィ!の大仙コンボの活躍にご期待ください・・・といいたいですが、次回も3大仙は「真面目にやってるけどオマヌケ」というキャラ付けの魔力から逃れられません。
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