着の身着のまま観音
西遊記読んでまえシリーズも、作中の距離で約半分の、通天河・霊感大王エピソードです。
・・・そもそも霊感大王て誰?と思う人も多いのですが、
「あの、いけにえになる男の子女の子の代わりに悟空と八戒が化けて潜入するやつ」
というと、まあまあの人が「あーあの話」てなる妖怪です。
同じように三蔵と八戒が妊娠する話は知ってても、そのとき闘う相手が如意真仙てとこまでは知らない人、多いかと。
つくづく、西遊記はエピソードありきのストーリー展開なんだろうなと思います。
ともかく通天河はサクサクいきたいです。
第四十七回
聖僧 通天河で行手を阻止されること
金木 小童等を救出し身替になること
3大仙にいい様に騙され、国を乗っ取られかけてた国王も目が覚め、隠れてた500人の僧侶も呼び寄せて、万事解決で、三蔵一行は旅路に戻る。
そして季節が寒くなってきたころにたどり着いた通天河。
河を渡る方法を思案しつつ、一泊の宿を求めて付近の民家を訪ねてみると法事中。
通天河に巣食う霊感大王の祭礼に捧げるため、毎年村の男の子と女の子を一人ずついけにえに出さなければならないとのこと。
まー必然的に、「悟空や助けておあげなさい」という話になりますわな。
こういうことに労苦を厭わない悟空が、いやがる八戒を従えて、まずは悟空が男の子に化けます。続いて八戒。
しかし、顔は女の子に似せたんですが、体がどうやっても巨漢のまま。
悟空「殴られたいか?はやく腹をへこませろ!」
八戒「殴らないでくれよ(;ω;)ガンバルよ」
とはいうものの、なんど呪文を唱えても、「ビール腹の女の子」にしか見えません。
悟空「・・・・・・」
八戒「・・・好きなだけ殴れよ(開き直ったw)」
悟空「しょうがないなあ。おまえ、ボックスステップ踏んでみろ(わ・り・と・・・原文を踏まえてます・・)」
~~参考:ボックスステップ~~
八戒「こうかい?アニキ」
ボックスステップを軽やかに踏んでいる八戒に、悟空がプッと息を吹きかけるとあら不思議、体も小さな女の子。
ようやくうまく化けたふたりをいけにえBOXに収め、祭礼の準備も整っていると言われる霊感大王廟へ出発!てなとこで次回へ。
第四十八回
妖魔 寒風をば弄び大雪を飄すこと
聖僧 拝仏のみ念じ層氷を履むこと
いけにえBOXで待機する悟空と八戒のところへ、さっそく霊感大王がやってきます。
霊感「さて、今年も例年通り男の子から食べようかな」
男の子(悟空)「どうぞどうぞ召し上がれ」
霊感「(ゲッ怖くないのかコイツ、気持ち悪いガキ)こ・今年は娘の方からいただくとするか」
女の子(八戒)「イヤイヤイヤ大王、へんな例外はやめましょうや。今年も男の子からどうぞ」
霊感「(こいつもガキにしては変に肝が座ってやがるな気持ち悪い)えーい、つべこべ言うな。お前から食う」
霊感大王が手を伸ばしますが、八戒、もうこらえられず、正体を現してまぐわでうちかかります。
カチンという音がして八戒が「ヨロイを打ち壊してやったぞ!」と弾けとんだ破片を見ると魚のウロコのようなものが2,3片。
霊感「なにモンだ貴様ら!」
悟空「なンにも知らないんだな田舎妖怪!俺たちゃ唐僧の弟子、悟空と八戒だ」
霊感大王はそれを聞くや、そそくさと通天河に飛び込んで逃げていきます。
悟空「八戒、追うな!明日ケリをつけようぜ」
というわけで、先に世話になった民家へ帰還。
三蔵「悟空や、祭りはどうだったかね(←のん気すぎじゃない?)」
悟空「魔物が来たんで、我々で脅してやりました。ソイツは逃げたんで、明日また様子を見に行きます」
というわけで就寝。
こちら霊感大王のアジト。
手下「例年の大王は祭り帰りは上機嫌なのに、今日はずいぶんご機嫌ナナメだ」
霊感「今日はダメだった。へんな坊主二人が子供に化けて、俺に襲いかかってきた。聞くと唐僧の弟子だとか。唐僧の肉は不老長生なので食いたいのはやまやまだが、あの一番弟子はヤバイ」
すると手下の中から「あいなめ姫」なる者が出てきて、
あいなめ「唐僧を捕まえることなど、簡単でございます。もし捕まえられたら、取り立ててもらえますか?」
霊感「おう、成功したら、兄妹扱いにしてやるぞ」
あいなめ「大王様が夜中の間にこの通天河を凍らせておくのです。夜が明け『なんだ河が凍ってるじゃん、歩いて渡ろうじゃん』となったとき、氷を割って唐僧だけ引きずり込めばいいのです」
霊感「それ、採用!」
霊感大王はさっそく通天河をカチカチに凍らせて、夜明けを待ちます。
さて三蔵一行、目覚めてみるとやけに寒い。
八戒「アニキ、寒いなあ(((・ω・)))」
悟空「バカッ!バカッ!バカッ!俺たち出家の身はな、暑さ寒さで文句など言うな!お師匠さんをミロ」
三蔵「悟空よ、寒いなあ…」
悟空「…」
一行が見ると、かの通天河も凍っている。
三蔵「しめた、これなら歩いて渡れる」
悟空「右に同じ」
悟浄「いやいや、4,5日待って、氷が溶けてから、船で渡ったほうが…」
(水怪とは思えぬ消極的な意見)
八戒がまぐわで叩いてみると、カーンカーンと、非常にいい音、しかも頑丈そう。
というわけで、一行が歩いて渡っていると、中程であいなめ姫の作戦通り氷はバリーンと割れ、慌てて空中に飛び上がった悟空をのぞく三蔵、八戒、悟浄、白馬はあわれ水の中。
霊感「あいなめちゃーん!唐僧食べるヨー。共に不老長生を分かち合おうぜ」
あいなめ「いや、待ってください大王。猿はすばやく空中に逃げ、他の妖怪たちも見失いました。ヤツらの襲撃を迎撃して、後の憂いを断っておいてから唐僧を料理しても遅くはないでしょう」
水が苦手ですかさず空に逃げた悟空はともかく、水に飲まれた三蔵以外の、
八戒はもともと水軍の長官
悟浄は水怪
白馬は龍王の息子
それぞれ水難を軽やかに脱して地上に戻りました。
再びあの生贄を出す予定だった民家に戻って来て、立て直し、巻き返しをはかったところで次回へ。
第四十九回
三蔵 災禍に遭い水宅に沈むこと
観音 危難を救い魚藍を示すこと
水が苦手な悟空もあんまりワガママ言ってる段階ではなく、八戒・悟浄とともに通天河の奥深く「海亀のやしき」と表札のある楼閣にやってきました。
悟空はエビに化けて屋敷に忍び込み、奥御殿の石箱の中に押し込められてギャン泣きしている三蔵を発見。
三蔵をなだめると、悟空はいったん引き返してきて、とりあえず、水の妖怪の時のいつもの
「八戒悟浄がおびき寄せて、水上の悟空が葬式棒でお見送り作戦」
で行きますが、一回目で惜しくも失敗。
逃げ帰った霊感はあいなめちゃんから悟空の棒の恐ろしさを聞いてもう出て来ません。
八戒悟浄が入り口でどんなに口汚く罵り倒しても霊感の「れ」の字も出てこない。
悟空は「困ったときの観音頼み」で普陀山までひとッ飛び。
入り口では二十四路の諸神、守山大神、捧珠龍女、善財童子がお出迎え。
善財童子(元紅孩児)「大聖、先日はお手数をおかけして申し訳ありません。今では私もホレ、この通り」
などと久闊を叙すふたりに諸神が割って入ります。
諸神「大聖、観音様をお訪ねと存じますが、残念ながらその観音様は早朝より竹林に入ったまま、出て来ません」
悟空「イイヨ、俺が竹林まで行くから」
守山「ちょ・・観音様はまだ、お化粧もしておられず、失礼にあたるかと」
善財「まだ蓮台に登るどころか、ネグリジェ姿のままだし」
捧珠「寝ぐせも尋常じゃないし、きっと頬っぺたに布団の縫い目跡なんかもついてますよ」
悟空「いんだよ細けえことは」
というわけで、365日無礼講の悟空が竹林に入ってみると、
観音「猿よ、もう少し待て」
と、確かに観音は寝起きの姿のまま、竹ひごを削って何かを作っている様子。
おとなしく外で待っていると、やがて観音は竹かごを持って登場。相変わらず寝起き姿のまま。
スッピン観音「さあ、悟空、すぐに通天河に行くぞ」
悟空「え!その顔で?」
言うが早いかもう通天河。
やって来た観音を見て八戒恐れおののきます。
八戒「悟浄よ、アニキはいったい普陀山でどれだけ暴れまわったのか。観音様を下着姿のまま連れてきちまったぞ」
観音は河の上空に位置を占めるとネグリジェの腰紐をほどき竹かごに結わえて河に落とす。
セクシー観音「死せる者は去れ。生ける者は留まれ」
と唱えながらカゴを引き上げると中には立派な光り輝く金魚が。
チラリズム観音「あのねえ今朝、蓮花池を見たら、飼ってた金魚のキンくんがいつの間にかいなくなっててねえ。多分、アンタが血相変えて迎えにくるだろうと思って、竹カゴ編んで待ってたのよ」
悟空「結局アンタの仕業か・・・」
霊感大王が竹カゴに捉われて水揚げされている衝撃で、あのあいなめ姫以下水軍の悪武将達は死滅した模様。
あいなめ「ギャー!竹カゴがぁー!」
鮫将軍「カゴが横を通った衝撃でぇー!」
そんな感じでしょうか。
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五郎疑問
あのー、ここに限ったことじゃないんですが、今まで霊感大王が召し上がってた子供たちはスルー?
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とりあえず、通天河は平和になり、石箱の中の三蔵も助けだし、舟をこしらえて河を渡ろうかと思っていると、霊感大王が来て以来、虐げられていた超巨大な白い甲羅のウミガメが水中からゴボゴボと現れます。
ウミガメ「9年前、突如やってきた霊感大王に『海亀のやしき』を奪われました。取り戻して頂いてありがとうございます」
(てことは観音のところでは池から逃げて9日間てことね。あと、細かいこと言うと10に足りない(完全でない)という意味で9という数字を使ってるんだろうな・・・)
ウミガメ「お礼に向こう岸まで渡して差し上げましょう」
三蔵「なんとお礼を言ってよいやら」
ウミガメ「お礼は結構です。ただ西天に着いた際、仏祖に、『私はいつになったら人間になれるか』を聞いていただければ」
三蔵「お安い御用です」
※最終回付近への伏線超ロングパス。
一件落着ってことで次回へ。
次の50回で5巻が終わるので、そのまま行こうかと思ったんですが、やはりエピソードごとに分けます。
次回、ドッカクジ大王にご期待ください。
壮大なスケールのバカ話です。
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