ブルーライオン伝説~古井戸の彼方に~
↑記事タイトルでハッとした人はファミコン中毒。
西遊記、まとめのほうじゃなくて、リアル読書の方はようやく黄眉大王あたり。
手前で牛魔王との決戦がありましたが、牛魔王エピソードの初戦、VSラセツジョにて芭蕉扇であおがれた悟空が、小須弥山まで飛ばされて、霊吉菩薩(黄風怪を瞬殺したひと)にもてなされてるシーンが良い!
霊吉菩薩の(友情か愛情かはさておき)「悟空大好き」っぷりがにじみ出てて好き。長い名前が覚えられない寺男も相変わらずいい味。
「おサルさん来たの♪」と、いそいそと蓮台から降りてくる霊吉さん、カワイらしすぎる。
そのあと、定風丹というお宝を授けてくれるシーンもほのぼのしてて好き。
さて、ビッショビショの国王幽霊話です。36回スタートなのはもったいない。36本の刀で貫かれる紅孩児こそ、36回スタートにふさわしいと勝手ながら思うのですが、金銀のあと紅孩児はあまりにもボスステージ連チャンすぎるんで、ゆるいエピソードを挟んだんでしょうか?
まあ、そこまで毎回数字にこだわってるわけじゃないってのが正解なんでしょうけど。
第三十六回
心猿 正しく処せば僧侶の伏すること
傍門 劈って破れば月明の見えること
第36回は、私を含め、仏教徒じゃない人たちには箸休め回。
一言でいえば『宝林寺に来ました』
ここを宿にするのにひと悶着ありますが、まあカットで。
第三十七回
幽鬼王 夜半に三蔵に謁すること
孫悟空 変化し嬰児を引かすこと
↑引かす(かどわ-かす)です
無事、宝林寺に落ち着き、就寝した三蔵の夢にビッショビショの幽霊登場。
自分のことを『朕は烏鶏国の国王じゃ』言うてます。
~幽霊国王のお話~
あれは5年前。日照り続きで川も井戸も干上がり、危急存亡のとき一人の道士がやってきて雨を降らせてくれた。
国を救ってくれた道士と義兄弟の契りをむすび、2年ほど楽しく暮らしていたが3年前、突然道士に井戸につき落とされた。やつは朕を殺害したあと朕に成り済まして国を支配している。
幽霊となって井戸の底で嘆いて3年。月遊神が現れ「斉天大聖が妖魔をくだしてくれる」と言って、ここまで導いてくれた。
まずは我が息子、太子の援助を得て下さい。この白玉の珪を見れば必ず助けになってくれます。
そんな夢見話が三蔵から、悟空達に。
翌朝、悟空はノウサギに化けると狩りに出ているの太子一行(千人だか数百人だか)を宝林寺に誘い込む。
正体を現した悟空と三蔵からいっさいを聞いて、白玉の珪を見ても、まだ太子はにわかに信じられない。
悟空「では単騎でお城にこっそり戻ってお母様にお聞きなさい」
太子「ああ、わかった。しかし事と次第によってはお前達は不敬罪にあたるのだからな」
続く。
第三十八回
嬰児 母御に問いて贋王を知ること
金木 水中に赴いて真物を見ること
烏鶏国の皇后つまりさっきの太子の母親も三蔵が見たような夢を見ていた。考え事をしていると一軍を率いて狩りに行ったはずの息子が手ぶら単騎で帰ってきた。
太子「母上、父上は3年前と比べて、変化は無いですか?」
皇后「あのねえ、息子のアンタにこんな話、聞かせるのもなんだけど、アノ人の体は、ハグするとたまげるほど冷たいのよー」
太子、それを聞くや、宝林寺にUターン。
太子「御僧、どうやら、おっしゃる通りで」
悟空「冷たいか。そりゃ、何かよっぽど冷え切ったやつが化けたに違いない。明朝行きます。一緒に行くと疑われるんで、あんたがたは先に帰りなさい」
太子「どのみち我々は疑われます。こんな大軍で猟に出たと言うのに、今日はずっとここに入り浸りなので猟果がない」
悟空「あーそれは山神、土地神に用意させます。やいオマエラ出て来い」
山神、土地神が「棒は勘弁してください;ω;」と命からがら集め倒した獣たちを、将兵たちはつかみ取り大サービス状態で、凱歌も高らかに城へ帰還。
深夜・・・悟空は駄目押しに八戒を「宝探しだ!」と騙して例の井戸に。
欲に目がくらんだ八戒は、宝を求めて全裸で井戸の中へ。
井戸の底はなんと水晶宮。
巡回の夜叉が八戒を見つけ龍王に注進。
夜叉「大変です!口のとがった全裸の坊主が来ました」
八戒「・・・またアニキに騙された気がする(←全裸)」
知らせを受けたここの統括龍王その名も井戸龍王。
井戸龍王「なんと、それは天蓬元帥に違いない。月遊神が烏鶏国国王の魂をとりにきたとき、唐僧に会って大聖にお願いするといっていた。大聖と元帥なら丁重におむかえしろ」
丁重にお迎えされて全裸豚がやってきます。
井戸龍王「これは元帥さん、ささどうぞ」
八戒は遠慮するふうもなく上座へ(←全裸)
井戸龍王「たしかうわさでは取経の旅中と聞いたんですが?」
八戒「アニキがな、あんたから宝を貰ってこいってんだ。よろしくな!(←全裸)」
井戸龍王「お求めのものは、これですよ。防腐加工済みですから、3年変わらぬ品質です」
その宝とやらを見ると死体国王。
八戒「やっぱりアニキに騙された!こんなのもってかえっても・・・」
気付いたらはや、井戸の底に死体国王と全裸豚二人きり。水晶宮などどこにもない。
八戒、さんざん文句を言いながら三蔵のもとまで死体運び。
おさまりがつかないんで三蔵に「アニキが生き返らせるらしいよ」と適当発言。
八戒の言うことは素直に信じる三蔵が「じゃすぐやりなさい」
悟空「三年もたってんだ、ムリですぜ」
八戒「頭しめたらやりますってw」
三蔵「そう?ムニャムニャ・・・」
(この人にはやさしさってものがないの?)
悟空「イタタタタタタタ・・・」
悟空悶絶のまま続くの巻
第三十九回
金丹を一粒だけ天上にて貰受くること
国王は三年ぶり世間にて再生すること
悟空「イタタタタわかりましたちょっと閻魔を脅しますよ」
八戒「いやアニキはさっき閻魔のとこまでいかずとも、地上でいきかえらせるって言ってた」
悟空「無茶いうなよ!」
八戒「お師匠さん、しめてやんなさい」
三蔵「そう?ムニャムニャ・・・」
(この人、色々とダメだろう)
悟空「イタタタタやりますやります。そのかわり『哭きびと』を立てといてください。効果をあげるために、盛大に泣いてもらわないと」
八戒「イイヨやってやるよ」
八戒はコヨリを鼻に突っ込み立て続けにクシャミをすると、なみだと鼻水を大量に出しながら号泣。その様は三蔵ももらい泣きするほど(ほぼ原文)。
(ダメだなあ、三蔵さん・・・)
悟空はそれを確認して老君のいる兜率宮へひとッ飛び。
こちら兜率宮の太上老君は丹房にて童子たち(金の童子と銀の童子もいるのかな?)といっしょに芭蕉扇で火を起こしているところ。
老君「みな、気をつけるんじゃ。金丹泥棒が来たわい」
悟空「もう取らないですよww」
老君「こないだも五つの宝を返却無視しようとしたろ!なにしにきた?」
悟空「烏鶏国国王を生き返らせたいんですよ。九転還魂丹を千粒下さい」
老君「飯がわりにサラサラとかき込む気かバカヤロー!無いわ!帰れ!」
悟空「じゃあ百粒ほど」
老君「しつこい!帰れ」
悟空「十粒でも!」
老君「バカザル!奎木狼をけしかけるゾ」
悟空は笑いながら、「じゃあ他をあたります」とおとなしく去る。
老君「あのろくでなしザルめ、随分あっさり引き上げたな・・・ん!!さては裏から忍び込んで盗む気だな?(←バレてる)おい待てエテ公!一粒だけくれてやるから帰れ!」
石もて追われる勢いで兜率宮をあとにすると、はや宝林寺。薬を死体に含ませ国王復活。
翌朝烏鶏国目指し出発。
悟空「国王さん、作戦とはいえ、汚い僧侶の格好に荷物担ぎまでさせて申し訳ない」
生還国王「とんでもない。生き返らせていただいた現在は、貴方様は朕の両親も同じ。荷物担ぎはもとより、労をいとわず、お側近くおつかえし、天竺までお供致します」
三蔵一行に、新メンバー『烏鶏国・国王』が加わった!
・・・ウソです。
悟空「天竺まではいいですよw烏鶏国までのしんぼうです」
烏鶏国に到着。通行手形にハンコをもらう手続き中、三蔵一行が国王を拝しないのを見てニセ国王カンカン。
ニセ国王「無礼者め!お前達全員捕らえて・・・」
太子「まあまあ父上、こやつらの話も聞いてみましょう(悟空にウィンク)」
悟空「ニセ国王!お前のほうが無礼だよ!ホンモノはここにいるぜ」
ニセ国王、慌ててお付きの将兵から剣を奪い、逃げつつ悟空と数合。
悟空がトドメ!というところでニセ国王が、居並ぶ登場人物に紛れ込むとそこには二人の三蔵。
三蔵A「悟空や、私がホンモノだ!」
三蔵B「悟空や、私がホンモノだ!」
これを見て八戒ニヤニヤ。
八戒「アニキ、『頭じめの呪文』を唱えてもらえよ」
悟空「イタタタタタタタ!ブタヤロウ、唱えてないのはどっちだ?」
ばれて逃げるニセ国王に追い付き、悟空の棒がトドメを刺す!というときに
「悟空!手をくだすでない!」
振り返ってみると声の主はあのドッキリボサツ作戦の時、観音の誘いにのったひとり文殊菩薩。
文殊は袖から手鏡・・いや、照妖鏡を出して「ほらこれをごらん」とニセ国王を照らすと正体は文殊菩薩のマイカー『青獅子』。
~~文殊菩薩の話~~
もともとここの国王は信心深かったので、如来のおぼしめしにより、天界への昇格話が出て、私が使わされた。私は国王の本心を試すべく、こ汚い坊主の姿で参ったところ、国王は私を縛り上げ、城のお堀に三日間、ぶら下げた。
今回、3年の間井戸の底で水びたしにされたのは、その時の罪ほろぼし。3年経ったので、罪滅ぼしは成った。
この青獅子は、去勢手術してるから皇后をけがしたりしてナイヨ。
しかも、ニセ国王が国を治めていた三年間は日照りもなく天候がよかっただろう?
~~~~~~~~~~
※こうして見ると、「かったい坊主二人」を差別することなく扱った太宗皇帝ていい人ですね。
文殊菩薩はそう言うと青ライオンさんに乗って帰っていきました。
と、いうわけで、ホンモノ国王の過去のあやまちも暴露されつつ、一応すべて丸く収まって三蔵一行は文武百官に烏鶏国のフチギリギリまで盛大に見送られながら旅再開。
しかし、青ライオンさんはいつかまた、パワーアップして一行の前に立ちはだかりますよ・・・
区切りが悪いので、このまま4巻ラストまで行きます。次回、4巻ラストは紅孩児エピソードスタート。
第四十回
嬰児の戯化により禅心が乱れること
猿馬と刀圭および木母が空しいこと
↑※猿馬→悟空、刀圭→悟浄、木母→八戒
旅の途中、木にぶら下げられて泣いている小さな子供がいる。
三蔵「おお、親元へ送ってやろう。馬に乗りなさい」
子供「馬はだめだよ、オイラ乗ったことないよ」
三蔵「悟浄、おぶってあげなさい」
子供「このおじちゃん顔が怖すぎるよ」
悟空「ええ、ええ、おいらが背負っていきますよ」
・・・この流れ、銀角のときも見たような・・・
悟空の背中の子供は突然600キロの重さに。とっくに正体を見抜いている悟空は、子供を路傍の石にぶちあてるが妖怪もニセの死体だけ残して逃げている。
・・・これまた白骨夫人のとき見たような・・・
怒った妖怪は、空中で風を起こして三蔵を誘拐。
悟空、八戒、悟浄であたりを探すが、お師匠さんはいない。
悟空は土地神を呼んでこのあたりに生息する妖怪のプロフィールを聞く。
土地神「それは牛魔王と羅刹女の子、紅孩児、またの名を聖嬰大王といいます」
悟空「なんだ、500年前義兄弟の契りを結んだ牛魔王の息子なら俺様にとって甥っ子のようなもんだな。話早そうだぞ」
八戒「五百年ぶりなら牛魔王も忘れてるかもしんないし、その子供なんて縁も何もないんじゃない?」
悟空「まあ行こうぜ八戒!悟浄、留守番頼む!」
というわけで、次巻、悟空・八戒で紅孩児を征伐に行きますが、これもなんか、壮大なスケールのバカ話となります。
悟空もドン引きの観音のキレっぷり必見。
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