西遊記です。少しずつ、敵が強くなってきます。
今回は奇しくも「グレはじめた思春期妖怪話2題」そんな感じです。
第四十一回
心猿 火難に遭かること
木母 魔怪に擒まること
枯松潤、火雲洞前。
悟空はいつもの手でさんざん罵りヤジリ倒し、釣られて出て来た紅孩児は、火尖槍をたずさえ、部下には炎の車五台を引かせてます。
八戒「アニキ、やつら引っ越しのようだぜ」
悟空「バカのブタ!あいつら迎え撃つ気マンマンじゃねえか。いいか見てろ、何事も、からめ手というのがあってだな・・・」
悟空は500年前の牛魔王との義兄弟の関係を持ち出して、「坊や、お師匠さんをおとなしく返しなよ」と説きますが、
紅孩児「(`ロ´)ハァアアア?うるせえんじゃボゲ!このヤリをくらえ」
聞く耳持たない紅孩児と悟空は二十合ほど打ち合い。
打ち合いではかなわないと見た紅孩児は、手下が車を並べている場所まで戻り、鼻を二度叩いて、煙と火炎を吹いた。五台の車からも出火。
黄風大王の三昧神風も凄かったが、紅孩児の三昧真火もすさまじい。
あたりは炎しか見えない惨状となり、このすきに紅孩児は洞窟内に逃走。入り口を閉めて出てこない。
悟空「まいったなあの火は」
八戒「アニキでもまいることがあるんだな」
悟浄「^^ニヤニヤ・・・」
悟空「何ニヤついてやがる」
悟浄「アニキたち、よほど慌ててるんだな、向こうが火なら、こっちは水攻めってのは定石じゃないか」
悟空「あ!」
八戒「あ!」
悟空は舎弟いや東海龍王のもとへひと飛び。
東海「これはこれは大聖さん、今お茶を出しますんでね」
悟空「茶はいいよ、もっと大量に水分が欲しいんだ、~経緯省略~というわけで、雨を降らせてほしい」
東海「それはお安いご用です。本当は玉帝に『何時何分、どこへ何㍊降らせます』と申請しなきゃならないんですが、大聖の頼みでしたって言えばお咎め無しのはず。弟達も集めましょう」
ぞろぞろと南海、北海、西海の龍王も集合。いざ火雲洞へ。
中空に4人の龍王を待機させ、2度目のVS紅孩児。
例によって、紅孩児が大火を吐き出すや、上空から4龍王が、1時間に5億㍉くらいの勢いで豪雨を降らせましたが、三昧真火は魔力の火なので、ただの雨水で消せるわけがなく、付近一帯は大火と大水で、より大混乱に。このすきに紅孩児は洞窟内に逃走。入り口を閉めて出てこない。
あまりの炎の温度と煙の激しさで、渦中にいた悟空の心臓停止。
東海龍王、雨を降らせる手を止めて
「天蓬元帥!捲簾大将!早く!大聖のお命が危ない!今すぐ助け出されよ」
悟浄、これを聞いて、「アニキ!アニキ!」と泣き叫びながら悟空の体を水中から引き上げ、八戒は八戒で、「まだ死んじゃいねえ」と体中をマッサージして体温を取り戻させ、悟空生還。
悟空「・・・お、お師匠様・・・」
八戒「寝ぼけやがって、俺様にありがとうも無しか」
悟浄「寝ても覚めてもお師匠様なんだなあ・・・」
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このシーンも好きです。3人3様、味が出ていて泣かせます。取り乱して思わず八戒と悟浄に過去の役職で呼びかける東海龍王も好き。
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特に役に立つ事無く、4龍王はしょんぼり帰ります(わりと原文)。
・・・西海龍王と白馬は何か言葉を交わしたりしただろうか・・・
西海「玉龍、まだまだ先は長いが、頑張れよ」
白馬「父上・・・」
なんてなことを。
悟空「こうなると、観音さまにお願いに行くしかないが、体が動かん」
八戒「俺が行くよ、待ってな」
紅孩児君もハナがききます。
「次に助っ人頼みにいくとしたら観音だな?」
紅孩児は八戒の先回りをして、みずから観音に化け、八戒を呼び止めます。
観音(紅孩児)「コブタちゃん、あたしに用?いいよ、その魔物捕らえにいきましょう」
深く考えることをしない八戒はニセ観音についていき、紅孩児の洞窟に一緒に入っていき捕縛。
どうも八戒の帰りが遅く、いやな予感がしてならない悟空はハエに化けると紅孩児の洞窟へ潜入。八戒がニセ観音に騙されて捕らえられているのも確認。
紅孩児「ウワハハハ唐僧のふかし肉パーティーを開くか。おい手下の誰か、わが親父殿を迎えにいってこい」
なんとなく、流れが金角銀角のときと似てますが、気にせず次回へ。
第四十二回
大聖こころこめ南海を拝すこと
観音なさけもて紅孩を縛ること
悟空は先回りしてサクっと牛魔王に化けると、手下をたぶらかし火雲洞へUターン。
紅孩児「帰りが早い。あやしい(←スルドイ)」
2、3会話をやりとりして牛魔王がニセモノとバレた悟空は光の速さで逃走。
(どうでもいい話ですが、逃走と唐僧が交互に出てくると、漢字変換のやりかえが面倒です)
手下「悟空が逃走しましたが、追いますか?」
紅孩児「捨て置け!それよりいよいよ唐僧をゴシゴシ洗って、鍋にぶちこむぞ!」
こちら唐僧じゃない、逃走の悟空、体の痛みも癒えたのでこのまま観音のもとへ。
悟空「毎度すみません、かくかくしかじかで」
観音「なに?あのガキが?あたしの姿にばけて?」
観音は怒りの形相すさまじく手に持っていた浄瓶を海中へドボン。
すかさず、海中から巨大な亀が「もしもし、落とされましたよ」と浄瓶を届けてくれました。
観音「悟空、拾えぃ!」
悟空「(コエェェェェー!)へい、今すぐ」
しかし怪力自慢の悟空でも、この浄瓶を持ち上げることができない。
悟空「か、観音さま・・・重い!」
観音「バカザル!よくそれで神通広大などとほざけるな」
悟空「(;ω;)・・・・・・」
観音「まあ、今、三江五湖、八海四涜すべての水をこの瓶が飲み込んだから、そなたには持ち上げられんだろうな。うちの善財龍女(たぶん、怪力美女)に瓶を運ばせ、お前の助っ人にしようかと思ったが、お前、うちの善財をナンパするだろう?だから私が直接行く」
悟空「ひでえなあ・・・」
と、言うや観音は瓶を右手で軽々持ち上げ、恵岸を呼びつけ、
観音「父親(托塔李天王)のとこに行って36ふりの天罡刀を、『全部』借りてきなさい」
恵岸、つべこべ言わず天罡刀36ふりを即レンタルしてきました。観音はその36刀を「千枚の花びらで出来た蓮台」に見せかけ、そこに座ると「悟空、恵岸、行くよ」と、はや火雲洞へ。
観音は山神、土地神を呼び寄せ、付近の生き物をすべて退避させたのち、浄瓶から溜まった大海を流し出し(浄瓶の中の甘露水と混ざり合った大海なので、三昧真火もさすがに鎮火)、紅孩児をおびき寄せます。
観音を見つけた紅孩児は槍で一突き、観音は素早く上空に逃げたが、これを追わずに、残された蓮台に座して、
紅孩児「ウワハハハ、この蓮台、ありがたく頂戴す・・・」
観音「消えよ!そして恵岸!」
気がつくと千枚の花びらは消え、紅孩児は36本の鋭い刀の上に座っております。
紅孩児に驚く間を与えず、恵岸がトンカチで刀の柄をカーンカーンと紅孩児のフトモモに向け千回も叩き込み、次いで観音が呪文を唱えると36の刀の先がすべて曲がり、もう抜けない。
観音は、泣いて許しを請う紅孩児の下半身の刀をすべて取り、かわりに5つの金のタガを頭、手足にはめ、善財童子と名付け、引っ立て行きました。
下半身の刀が取れた瞬間紅孩児は再び暴れようとしましたが、悟空や黒大王でさえ1個でヒイヒイいったタガを5つもはめられて、ギュウギュウ締められてはまともに抵抗できるはずがありません。
以後、紅孩児あらため善財童子は黒クマ君とともに、観音のおそばでボディガードを務めることになりますが、それはまたいずれ。
紅孩児はおとなしくなりましたが、悟空は牛魔王との間に遺恨を残しましたね。
ちなみに今の観音菩薩のおうちのまわり↓
黒大王改め、守山大神
紅孩児あらため善財童子
このふたりの背後にふたりより格上の恵岸がいて。それ以外にも今回初登場の、美人なんだけど怪力が予想される善財龍女とか、二十四路の諸神などがいて、観音さんのところに攻め入るのは至難の技ですな。
次回43回はショートストーリーなんで、ついでに行きます!
第四十三回
黒河の妖孽 三蔵を拐って去ること
西海の龍子 鼉龍を捉えて回ること
観音さんを見送って、悟浄とふたり、洞窟に潜入して三蔵、八戒を助け出し、一件落着。
・・・微妙に次回にエピソードを食い込ませる理由はわかりませんが、43回がショートストーリーなので、ページ稼ぎなのかもしれません。
三蔵一行、お次は黒水河へ。
そこを渡している小舟で河を渡っていると風が起き、小舟は水没。例によって三蔵&八戒は誘拐状態。つまり小舟の船頭は妖怪。そして唐僧の肉が喰いたい。
相手が水の中ということで、まず悟浄出撃。
水中で適当に妖怪と闘っておびき寄せ悟空が棒で殴る作戦ですが、妖怪は追ってこない。
どうしようと悟空悟浄が相談してると、この黒水河の河神が現れ、
河神「妖怪の正体は西海龍王の甥、鼉潔(『鼉』はヨウスコウアリゲーターらしいです)。我が棲家はやつに奪われた。どうか助けて欲しい」
悟空、すかさず西海龍王をたずね(別名:怒鳴り込み)、これまでの経緯を説明。
龍王、号泣謝罪でその「甥」の素性を説明。
甥は西海龍王の妹の9男。父親は西遊記第9回において、雨を降らせる量と時間を改ざんして処刑された涇河龍王。
おお!まさか、当ブログにて「西遊記とまったく関係無い話なんで」とバッサリカットした涇河龍王エピソードの息子がここで出てこようとは。
というわけで、父親を失い、母とともに棲家も追われた鼉潔がグレぬよう、西海龍王は黒水河に修行に出していた・・・とのこと。
立派にグレてますやん!絶対ソリコミリーゼントに龍の模様のスカジャン着てるでしょ。
西海龍王は息子の摩昂(まこう)に討伐を指示。摩昂はエビ、カニ、アイナメ、ヒラメ、タチウオ、タコ、アナゴといった、とれとれピチピチ豊富な海のさち軍団を率いて悟空もろとも黒水河に参上。
鼉潔「マコッちゃん、いいとこへ!唐僧の肉が食えるよ!不老長生だよ!」
摩昂「バカイトコ!お前のせいで、我が父と、私がどれほど大聖殿に大きな借りを作ってしまったかわかっているのか!」
慕っていた親戚の兄ちゃんに突然どやしつけられてヨウスコウアリゲーターも面白くありません。親戚バトルとなりますが、まあ、龍王の息子は強かったです。あっという間に降参させ捕縛。
摩昂「バカイトコ!来い!命乞いはわが父の前でせよ!大聖殿、ご迷惑をおかけ致しました」
と、龍王の一の王子はヤンキーいとこを引っ立てて帰っていきました(実の弟である白馬君とは親しく言葉を交わしたりしたんだろうか)。
摩昂「弟よ、白馬の姿でもわかるぞ。いい目になってきた。ガンバレ」
白馬「兄さん・・・」
なんてなことを。
さて一行は元の棲家を取り戻した河神に、黒水河を渡してもらって一件落着で次回へ。
次回からいよいよ、虎力、鹿力、羊力(こりき、ろくりき、ようりき)大仙との、超バカゲーム合戦スタート!
子供の頃、このエピソード読んで、西遊記が好きになりました。箱の中身はなんじゃろなゲームとか、いちいちバカすぎるw
1回でまとめきるのはムリかもしれない・・・
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