ジョニーの奇妙な冒険
前回の「海浜の午後」と同じタイミングのお盆休み小旅行中に、クリスティさんの「愛の探偵たち」を読み終えました。マープルさん多め登場の短編集です。
表題作「愛の探偵たち」はポアロ、マープル、トミー&タペンス、パーカー・パインに続く、クリスティ最後の探偵「ハーリ・クィン」が謎解きをする物語。
ハーリ・クイン物は今まで短編集に収められた2編を読みましたが、クィンのキャラより、横にいるサタースウェイトのキャラが鼻について、いまひとつどんな人物かわかりませんでしたが、今回も良くわかりませんでした。
サタースウェイトはキモイ。
例)文中におけるサタースウェイト(いい年のオッサン)の人となりを示す記述
フランス料理や女性のファッションに一家言もつ都会派で、最新のスキャンダルにも精通云々・・・
キモチワルイです・・・
あらすじ【愛の探偵たち】
1:三匹の盲目のねずみ
前回の「海浜の午後」に収められた「ねずみたち」で勘違いしてましたが、今作こそが戯曲「ねずみとり」の短編版です。
ほぼ戯曲に忠実な内容なので、ここでは割愛します。パラビチーニ氏は各々記憶の中のポアロ俳優で脳内再生しましょう。
2:奇妙な冗談
マープルさんが、若いカップルが手にした大おじの隠し財産を探す手伝いをするお話。話があちこち脱線するマープルを、若いカップルが心のうちで「あーあwwwこのおばあさんの頭大丈夫かねwww」と散々バカにしてるうちに誰もが予想しなかったおじの遺言のカラクリを解き、「ジャンピング・カップル土下座の巻」というスカッとさわやかな内容。
遺言状に隠された、財宝のありかも、稀有のトリック。
4:昔ながらの殺人事件
マープルさん続投。例によってセント・メアリ・ミード村で殺人事件発生。事件現場にヒントがありすぎた・・・・・・
5:申し分のないメイド
タイトルにメイドってついてたら、さあみなさんご一緒に・・・・・・
「メイドはグラディス」
なじみのメイドにかけられた宝石盗難の嫌疑を晴らすためマープルさんガンバルというお話。
6:管理人事件
マープルさんの作品ですが、これはあの「特定の探偵の登場しない長編」の短編バージョン。
・村にある館を改修して住み着く、貧乏だった若者と金持ち令嬢の夫婦。
・夫婦に近づき呪いの言葉をあびせる老婆。
・乗馬好きだった令嬢はある日落馬して絶命。
・そこは呪われた地だったのか?
あの作品です!
7:四階のフラット
鍵を忘れて4階の自分の部屋に入れなくなったパーティー帰りの若者達(男2、女2)。男二人は石炭運搬リフトで台所窓から侵入しようとするが、間違えて一階下の3階に侵入してしまう。しかもその部屋には死体が。慌てているところに階上の住人が声をかけてくる。
「お困りですか?私はオコナーという偽名で上の部屋を借りている者ですが、本名はエルキュールポアロと申します」
階下に死体、階上から怪しいベルギー人。4人の若者の運命はいかに!
8:ジョニー・ウェイバリーの冒険
ポアロさん連投。ジョニー・ウェイバリー少年の誘拐事件を担当するポアロ。ジョニー少年の奇妙な冒険に、誰もが愕然とする。
9:愛の探偵たち
巻き込まれ探偵ハリー・クィン登場!事件の骨格自体はシンプルだが、それだけに犯人の罠にハマリやすい、矛盾の多い殺人事件。
妄想親父サタースウェイトがキツイ。
まわりからおだて上げられて、まんざらでもない感じもキモイ。
さて、「管理人事件」は、そっけないタイトルに騙されますが、先にも書いたとおり、私のなかでベスト3くらいに入るあの長編の短編バージョンでした。
読み進めるうちに、「あれ?この展開、どこかで・・・」と思っているうちに令嬢が落馬して死亡。
しまった!やられた!
感想としてはまことに残念ながら、あの長編に及ぶべくも無い。世界中のこれからクリスティ作品に触れる人に言いたい。
先にあの長編を読んでください。こっちを先に読んでしまうと、あの衝撃が薄れる・・・
物語の進行役がマープルなのか、主人公の青年なのかで謎解きの「がけ崩れ感」に大きな差がでます。
などなど、色々書きましたが、この短編集はすばらしいです。読んで損無し。こういう短編集ならいくらでも読みたい。
ポアロの長編物はまだ数編ありますが、マープルの長編はラスト作品以外全部読みましたので、こうやって短編で忘れた頃に登場すると、懐かしく読めていいですね。
それはそうと表題作「愛の探偵たち」で、事件の急報を受けたメルローズ警察本部長、サタースウェイト、クィンの3名は現場で事件担当警部と遭遇。以下原文ママ
~~~
メルローズはそのまま大股に図書室へむかった。身体の大きい兵士のような容貌の警部がうやうやしく挨拶した。
「ひどいざまです、本部長。」
~~~
ここ読んでいて警部のセリフを「ひどいザマス、本部長」と読んでしまい、『なぜこんなとこにスネオのカーチャンレベルのセレブママが?』と思ったのはナイショです。
残り27本、そろそろ以下の備忘録も丸暗記できるレベルになってきたか?
未読リスト
06:邪悪の家
12:メソポタミヤの殺人
14:もの言えぬ証人
15:ナイルに死す
28:鳩のなかの猫
29:複数の時計
31:ハロウィーン・パーティ
33:カーテン
46:スリーピング・マーダー
50:運命の裏木戸
53:謎のクィン氏
55:死の猟犬
56:リスタデール卿の謎
60:ヘラクレスの冒険
62:教会で死んだ男
68:蜘蛛の巣
73:チムニーズ館の秘密
74:七つの時計
75:愛の旋律
77:未完の肖像
83:死が最後にやってくる
84:忘られぬ死
88:バグダッドの秘密
89:娘は娘
90:死への旅
91:愛の重さ
96:フランクフルトへの乗客
| 固定リンク | 0
「読書班-アガサ棚」カテゴリの記事
- お笑い用語で言うところの天丼というやつ(2021.03.23)
- フジにしては渋いところをついてきた(2021.03.05)
- 怪作登場(2019.04.17)
- テレアサ春のアガサまつり(2019.03.14)
- 未読の人の視点が理解できました(2018.04.23)
コメント