まだ出会わない二人
西遊記、読めば読むほど味があって面白いです。改めて気付くんですが、「悟空がひたすら大活躍」というお話ではなく、出てきた敵妖怪に対して、悟空が天界から誰を連れてくるのか?妖怪は何の化身だったか?の種明かし部分が面白いです。
そんなわけで西遊記2巻まとめ。
第十一回
再生を得て唐王 善果に遵うこと
孤鬼を度い蕭ロウ 空門を正すこと
太宗皇帝は第十回のスッタモンダで冥界から戻る際、その地の者に借金してお布施のようなことをしている。その冥界で借金した者の子孫に金を返そうとするが子孫も立派な人で受け取らない。やむなく大きな寺をたて、施餓鬼法要を行うことに。
ここでお経を唱えるのに選ばれたのが玄奘という名の僧侶。
全100回中、11回目にして、やっと西遊記一行のリーダーが登場。
第十二回
玄奘 誠を秉って大会を建くこと
観音 象を顕し金蝉を化すこと
長安の都に見るも汚らしげな「かったい坊主(原文ママ)」がふたり現れ、道端で、錦襴の袈裟に九環の錫杖を合計七千両で売ろうとしていたが、噂を聞いた太宗皇帝が買いたいと言うとただで譲ってくれた。その錦襴の袈裟をまとった玄奘が法会にて念じ、談り、宣べていると、先のカッタイ君ふたりが「小乗ではなく大乗を唱えないか!」とイチャモン。
役人に引き立てられ太宗皇帝の前へ引き出される、うすぎたない坊主二人。
皇帝「中村敦夫です。お前達、よくも施餓鬼法要を台なしにしたな?・・・とよく見れば先の坊主じゃないか!なぜこんなことを?」
坊主1「あれの語るは小乗。わたしのところすなわち・・・・・・天竺にある大乗三蔵こそが亡者を苦難から救うのです」
そういうが早いかカッタイ坊主ふたりは観音・恵岸の正体を表し、はるか上空へと風に乗って去っていく。
居合わせた全員、地球が割れる勢いの焼き土下座。
太宗皇帝は玄奘に「三蔵の経を取りにいくから三蔵」と安易なNEW名前を付け、お供に従者を二人付けてくれて、お見送り。いよいよ三蔵法師旅立ちます。
※かったいは差別用語ですが、とりあえず原文をそのまま使用することをお許しください。
第十三回
虎穴の難にて金星 厄を解くこと
双叉の嶺にて伯欽 僧を留ること
旅に出るやいなやアズ・スーン・アズ、三蔵達は虎妖怪「寅将軍(インショーグン)」、熊妖怪「熊山君(ユーザンクン)」、牛妖怪「特処士(トクショシ)」につかまり、従者二人はスタッフがおいしく頂きました。
夜明けにはあの僧侶も食おうと3妖怪うわさしていたが、三蔵は突如現れた枯れ木のような老人に救助される。3妖怪は姿も形も無い。
老人に開けた道まで連れてこられた三蔵、お礼を言おうと振り返ると老人はすでに丹頂鶴にまたがり風のかなた。ボーゼンとする三蔵の目の前に紙切れがヒラヒラと。
そこには四句の詩
「あのねえ、ぼくねえ、太白金星なんよー
とりあえず来て、あんたの命を救ったんよー
前に進んでれば、今後もイロンナ助けがくるんよー
やらなあかんことなんでね、怨んだらいかんよー」
ひとりぼっち三蔵は気を取り直して旅を再開しようと思うや否や、A・S・A!目の前にはリアル虎。
「もう死んだ・・・」
と思っていたら、西遊記マニアの間でも絶大な人気を誇るとされる劉伯欽登場。
(とりあえずゴツイ熊五郎のような猟師をご想像ください)
猟師・伯欽は虎を打ち殺し、三蔵を助ける。
三蔵は伯欽の家に一泊し、翌朝この信心深い猟師さんが三蔵のボディガードを買って出てくれて、峰また峰、山また山と進んで行き、ついに巨大な山「両界山」までたどり着く。
しかしテリトリーの関係で猟師さんがついてこられるのはこの両界山まで。
三蔵が泣き叫んで「どうかまだ着いて来て欲しい」とジャンピング土下座で頼みこみ、猟師さんも困っているところ、巨山を震わす雷声が鳴り響いた。
「俺のお師匠さんが来たぞ!
俺のお師匠さんがついに来たぞ!」
両界山のかつての名は五行山。500年前、釈迦が魔王を封じ込めた山である。
次回への引きがあまりにも鮮やかすぎて、ここで一旦記事を終わる試み。
続きは次回!
・・・短くまとめようという最初の思惑を超えて、このカテゴリの日記は長文になりそうな予感。
とくに金角でも銀角でも牛魔王でもない、
あの、なんでも吸い込む袋妖怪のところ・・・
あとサイ妖怪のところ・・・
そして、もちろん黄袍怪のところ・・・
| 固定リンク | 0
「読書班-西遊記」カテゴリの記事
- 本当はこういうのをやろうと思ってたんですが…(2011.10.31)
- また、虎の妖怪ですか(2011.10.14)
- 着の身着のまま観音(2011.10.27)
- ムカデブラリ(2011.10.18)
コメント