犯人はクズ
まあ、だいたいミステリー小説の犯人は、いずれ劣らぬ自己中心的な考えで「あの人は殺さなければならない」と断じてその行為をおこなってしまうわけです。
それでもなんとなく、わからないでもないような理由があったり、半分事故っぽいケースもあったりして読みながら
「うーん、殺人はダメだけど、その理由ならねえ・・・」
と思う犯人はいます。
しかし、今作は久々にクズ犯人でした。
申し送れましたが、クリスティーさんの「三幕の殺人」を読みました。
ちょっと珍しいです。自己中心的な犯人というと、タイトルは書けませんがこれまでも何人もいました。でもそれなりに、あの人たちにも美学はあると思うんですよ。でも、この犯人には美学が無い。
ひどいヤツですよ。
あらすじ【三幕の殺人】
引退を考える俳優の別荘でホームパーティーが開かれた。医者、女優、脚本家、教区牧師とその妻、そして謎の探偵クィンのシリーズに出てくる同名人と同一人物かどうか説明の無いサタースウェイトなどが集まった。
パーティーの最中、全員に平等に振舞われた酒を飲んだ牧師が死んだ。
数日後、パーティーに参加していた医師の家で行われたパーティーで、今度は医師が平等に振舞われているはずの酒を飲んで死んだ。ポアロは最後の最後まで、犯人の動機に悩む。
面白い作品ですね。登場人物もまた類型的で整理しやすく読みやすい。私は今回、ポアロさんじゃないですけど、どうしても動機がわからず、犯人を特定できませんでした。
動機が鮮明=犯人がわかりやすい
の図式は間違いないと思いますので、「動機がわかりにくい」というギミックも、推理小説としていいなあと思います。
だからといって「殺す相手をあみだくじで決めた」なんていうメチャクチャな動機ではなく、犯人の人生から来る「犯人から見ると当然」な動機で被害者は選ばれておりました。
クズなんですけどね。
本編以外では、ポアロがなぜ、「普段から偉そうにしていて」、「外国なまりが抜けなくて」、「意味があるようでないようなことばかり言っているのか?」に対する彼なりのタネあかしがあって少し感心しました。頭のいい人はちがうなあ。
今回、グラディスは二人も出てきますが、メイドじゃないので、そこは面白くないです。
秘書グラディスは前にもいましたね。
周囲の文章がわりとネタバレ的なので、モザイク処理。
お次は意外なタイトルを読みます。
残り31本。
06:邪悪の家
12:メソポタミヤの殺人
14:もの言えぬ証人
15:ナイルに死す
28:鳩のなかの猫
29:複数の時計
30:第三の女
31:ハロウィーン・パーティ
33:カーテン
46:スリーピング・マーダー
50:運命の裏木戸
53:謎のクィン氏
55:死の猟犬
56:リスタデール卿の謎
60:ヘラクレスの冒険
61:愛の探偵たち
62:教会で死んだ男
68:蜘蛛の巣
70:海浜の午後
73:チムニーズ館の秘密
74:七つの時計
75:愛の旋律
77:未完の肖像
83:死が最後にやってくる
84:忘られぬ死
85:さあ、あなたの暮らしぶりを話して
88:バグダッドの秘密
89:娘は娘
90:死への旅
91:愛の重さ
96:フランクフルトへの乗客
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