仕事忙しくて、家帰っても、本読むくらいしか時間が無い私です。
そんなわけで、ナルニア国物語5章「馬と少年」を読みました。
時系列がちょっとわかりにくいんですが、1章「ライオンと魔女」のラスト付近で、ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィの4王がりっぱな大人になってナルニアを治めていた頃の事件です。
その事件「馬と少年」のお話が完結して、しばらく経ってから4王はタンスからもとの世界に子供の状態で戻る。そこから数百年後が「カスピアン王子のつのぶえ」。さらに数年経って「朝びらき丸東の海へ」、で数十年経って「銀のいす」、そしてまたかなり経って「最後のたたかい」へ。
ここに出てこない「魔術師のおい」は一番原初の、ナルニアという世界が出来るときのお話。
あらすじ【馬と少年】
辺境の大国カロールメンのラバダシ王子が、美貌で知られるナルニアのスーザン女王にしつこく求婚するが、スーザンはアウトオブ眼中(死語)。怒ったラバダシ王子はティスロック王(みよとこしえに!)の制止を振り切り、大軍を率いてナルニアに押し寄せてくる(しかしナルニアは遠い)。その目論見を事前に知った漁師の息子シャスタと家出してきた貴族の娘アラビスは、愚劣王ラバダシを出し抜いて、ナルニアに急報を伝えることは出来るか?しゃべる馬ブレーも出るよ!
ラバダシ王子はひたすら「スーザンは俺の嫁」以外頭に無い無知蒙昧にして皮相浅薄な愚劣王子なのですが、その父親のティスロック王(みよとこしえに!)は「ナルニアと事を荒立てるのは愚か者のすること。王妃ひとりくらいあきらめろ」という言い分の、わりと普通の人。
最終的には
「ナルニア人の血一滴も流してはならん、事を荒立てるときは自分ひとりの判断でやったことにせよ」
とまで言い切ってしまう、わが子よりも国を守ることを先に考える人、それがティスロック王(みよとこしえに!)だった。
ティスロック王(みよとこしえに!)さん、カッケー!
・・・すみません、なんか、ティスロックのあとにカッコしてみよとこしえに!ってつけなきゃならないみたいです。文章中、王様が登場するたびにマクラ言葉がついてます。
どういうギミックなんですかね、これ?
ビートたけしさんのモノマネするときにダンカンさんの後ろにかならずバカヤローコノヤローってつけるのと同じようなもんですか?
たけし「ダンカン!バカヤローコノヤロー!おめえよくもひでえこと言いやがったなダンカンバカヤローコノヤロー」
ま、それはともかく、そのギミックのおかげでティスロック王(みよとこしえに!)が出てくると非常にテンポが悪く、読みづらくなります。
ここまでほぼ全部余談です。
さて、この物語の主人公は「漁師の息子シャスタ」と、彼に「私を盗んで逃げなさい」とそそのかす「しゃべる馬ブレー」です。
そして多分、別な意味で物語を引っ張って行くのがラスボスである「ラバダシ王子」。
スーザン強奪計画を止められて総理大臣を蹴るラバダシ王子
ティスロック王(みよとこしえに!)から強引に許可を貰い、勇んでナルニアを目指すラバダシ王子
エドマンドとの一騎打ちで高所から飛び掛って切り殺すつもりが城壁の出っ張りに引っかかってどうにもこうにもならなくなるラバダシ王子
アスランにすら臆することなく罵詈雑言を浴びせ続けていて、ロバに変えられたラバダシ王子
「ロバはやめてくれぇ!せめて馬に・・・」という断末魔の叫びが哀れすぎます。
しかしアスランも鬼ではありません。ロバから人間に戻る方法として、故郷の大祭で国民全員が集まっているとき、祭壇の前に立てば、人間に戻ることができるとの慈悲が!しかし祭壇から15キロ離れたらまたロバになり、今度は二度と人間に戻れない。
果たせるかな、国民の見守る中、人間の姿に戻ったロバダシ王子じゃなかったラバダシ王子は、なにせ国外に出られないどころか祭壇から15キロ圏内しか移動できないため好戦的な発言はなりをひそめ、また部下が戦功を上げると下克上が起きるので、部下にも国外への出兵を禁じ、最終的には本人の思いとはかけ離れた、「平和王ラバダシ」という名で呼ばれるようになっちゃいました。皮肉ですねえ。
ナルニアのいろんな物語の中で、ここまでコケにされるラスボスっていなかったですよ。
確かにそれだけの報いを受けるような卑劣漢だったんで、仕方ないといえば仕方ないですけどね。
国民から
「プッあいつ、15キロ離れたら一生ロバだしw」
と影で笑われながらも最終的には「平和王」と呼ばれたんだから、良かったんじゃないでしょうか。晩年は野心も枯れ果て、愛すべき愚昧王になってたかもしれない。
とにかくラスボスが目立ちすぎて、主人公シャスタは空気気味・・・
そうそう、大人モードのスーザン、エドマンド、ルーシィの3王が出てきますが(ピーター王は北国の巨人討伐に行ってて物語には登場せず)、品行方正な大人モードなので、なんだか別人みたいで、面白みは無いです。エドマンドは相変わらず駆け引き上手ですが。
もうここまで読んだんで、このまま6章「魔術師のおい」、7章「最後のたたかい」まで読みきってしまおう。
クリスティーさんシリーズはストックがたまる一方。
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