横にひび割れるどころか粉々に割れた鏡
クリスティーさんの「死人の鏡」を読み終わりました。
短編と中編そのすべてがポアロ物で構成された、不思議な読後感の作品集でした。
あらすじ【死人の鏡】
○厩舎街の殺人:厩舎街の一室で女性が拳銃自殺を遂げた。完全密室であるが、左頭部を撃った拳銃は右手に握られていたり、銃に指紋が残っていなかったりと不審な点が多い。
「偽装殺人」という言葉自体の裏をかく、短編ならではの一作。
○謎の盗難事件:殺人事件ではなく、設計図を盗んだ犯人を当てる推理物。短編なので人数が少ないのが良いところでもあり、惜しいところでもあり・・・
○死人の鏡:シェヴニックス・ゴア卿に呼び出されたポアロだったが、当のシェヴニックスはいち早く犯人によって殺されていた。発見された書斎の鏡は粉々に割れており、クリスティマニアなら「鏡は横にひび割れて」を思いうかべずにはいられないが、やはり、テニスンの詩の引用は出てきました。
ワトスン役のサタースウェイトがクリスティさんの別探偵ハーリ・クィンの相棒サタースウェイトと同一人物かどうかは謎。
○砂にかかれた三角形:ポアロが劇中で、砂浜に三角形を書いて事件の様相を話し相手(ひいては読んでいる我々)に示唆しますが、事件の骨格はともかくトリックはそれとは別な次元のお話。
シェヴニックスが読みにくい。
それはともかく、死人の鏡はさすが表題作だけあって楽しめました。中編強くらいでそこそこ読めましたし。それ以外の短編はトリック一本勝負なので、長編好きの私には少し食い足りないかも。
さて、そうは言いながら次も短編集「黄色いアイリス」を読む予定ですが、夏侯さんから宮部みゆきさんの『ばんば憑き』をお借りしたので、そればっかり読んでます。
さすがに凄い。
そして宮部さんの作品すべてに言えるのですが、途中で読むのやめられない・・・
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