ふたりのグラディス
クリスティーさんの「牧師館の殺人」と、東野さんの「容疑者Xの献身」を読みました。
・・・といっても読んだのは年末の旅行@新幹線車中です。年始早々グータラ過ごしてましたので、今頃になって記事にしております。
あらすじ容疑者Xの献身
容疑者Xとは、どっちのことを指しているのか?誰が誰に献身的な態度を取っているのか?
あらすじは以上です。
いやー、あらすじ書けないですよこの小説。全編トリック詰めって感じですので。
ネタバレに関係ないところで書けるとしたら、湯川先生(ドラマでふくやまさんが演じた人物)にはあまり感情移入できず、草薙刑事(同北村さんが演じた人物)には感情移入できるということくらいでしょうか。
なお、シバサキさんは映画には出てきましたが原作には出てきません。
良い小説だとは思うのですが、私は東野さんの作品は苦手かもしれない・・・
フィクションなのだったらクリスティーさんや横溝さんのようにカッ飛んでいて欲しいのですが、業を負わせる対象に地味に救いがなく、読んでいてシンドイ。
いや、良い小説だと思います。
「流星の絆」→「容疑者Xの献身」
の順番で読んだのがマズかったのだろうか?
この流れで「白夜行」とか読まないほうが良いような気がする・・・
こんど「聖女の救済」を読んでみようかな・・・
人間賛歌であることを期待してます。
さて続いてマープルザビギニング、「牧師館の殺人」です。
あらすじ牧師館の殺人
のどかな田舎の牧師館にて、主人不在の間に訪問者が刺殺される事件が発生。犯人は巧妙に自らを捜査線上から外したとの自負があったが、その田舎の村セントメアリミードには、情報収集と人間分析にかけて右に出るもののいない老嬢ミス・マープルがいた。
この小説を書いた時点ではまだシリーズ化するかどうかクリスティさん自身が考えていなかった、「ちょっと勘にさわる老嬢ミスマープル」の長編デビュー作です。
例によってクリスティーさんの「犯人隠し」は厳重で手が込んでます。
小説はレナード牧師の手記のようなスタイルを取っておりまして、マープルさんはレナード牧師から見た、何を考えているかわからない老婆という登場のしかた。
クリスティーさんの作品郡の中ではちょうど中間くらいの面白さなのではないでしょうか。
ただ、この小説は続くマープル物「書斎の死体」とセットで読んだほうが良いのかもしれません。今その書斎の死体をパラパラと読み直してみると今作の語り手レナード牧師を筆頭にメルチェット大佐、スラック警部、ウェザビー、ハートネル、プライスリドレイの3婆(失礼)、プライスリドレイ夫人のメイドのクララまで登場する始末。
マープルさんの作品郡は全部読破したあと、また年代ごとに読み直してみるのも面白いと思われます。
ちなみに考古学者の秘書でグラディスさんが出てきますが、
レナード牧師のとこにも「メイドのグラディー」がいます。
グラディーなんて言ってますが、間違いなくメイドのグラディスだと思います。
クリスティ「あ、やべ、メイドの名前グラディスしか思い浮かばない・・・でも初手のほうで秘書グラディス出しちゃったしなあ、まあグラディーて名前にしておこうかしら」
もしくはクリスティさんは無意識にしれっとグラディスふたり出してて、
訳者「あれ、この小説グラディスがふたり出てくる。しかもトリックの部分に全然関係ない。これ絶対読者が混乱するぞ!イギリスでは混乱しないのか?日本人だけなのか混乱するのは・・・うーん、台所女中の方はグラディーに変名しておこうかな・・・」
翻訳の人にそこまでの権利は無いように思いますので、やはりクリスティーさんがサラッとグラディーて名前を出しちゃったんでしょうね。それくらいメイドといえばもう、グラディスなんでしょうね。
時代小説家「特に意味を持たない登場人物の大工に八っつあんと熊公以外、名前つけられないよ」
てことなんでしょう。そう思うようにします。
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