ギリシャ神話の快足の美女アタランテその1
クリスティーさんの「杉の柩」をGW東京旅行の行きの新幹線で読みました。
「アガサ・クリスティー後期型の名作」だと思います。
あらすじ【杉の柩】
叔母のローラが死に、莫大な遺産が手に入った美しい娘エリノア。子供の頃から結婚の約束をしていたロディーは結婚と共にエリノアの財産を共有できるはずなのに、それを捨て叔母の使用人の娘メアリイに心を奪われ、エリノアに別れを告げる。
エリノアは常に心の中で思う。あの娘メアリイさえいなければいいのに。
そんなある日メアリイはエリノアが自ら作ったサンドイッチを食べて死んでしまう。
すべての状況が100%エリノアの犯行であると指し示している。
いいですね。エリノア・カーライルというお嬢さんの一人キャラ勝ち小説です。
冒頭、法廷の被告台にいるエリノアに裁判官がたずねる。
「あなたが殺したんですか」
長い沈黙。
弁護士が「気でも違ったか?」と思い始めたころようやく
「いいえ。私は殺してはいません」と決然と言い切る。
そこから時間は過去にさかのぼり、
ロディーが好きでたまらないエリノアの心情。
「快足の美女アタランテを思わせるメアリイ」の登場。
ロディーの心変わり。
メアリイの死。
ポアロ登場。
そして冒頭の法廷シーンへ。
緊迫感をずーーーっと維持し続けるクリスティーさんの手際が見事です。
ポアロが状況を整理していけばいくほど「状況的にも心情的にも」エリノアが犯人としか思えない。ほかにメアリイを憎んでいる登場人物はいない。
しかし犯人はいた。まさかの立場からまさかの動機を持つ薄汚い犯人がいました。
ミステリ小説はこうでないとイカン。
画像に特に意味はありません。
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