まず全員を疑え
クリスティーさんの戯曲集から「ねずみとり」を読み終えました。
200ページくらいの中編でしたので、イッキでしたね。
過去からやって来る復讐者という、クリスティーさんお得意のテーマです。犯人の意外さもかなりいい線行ってます。
あらすじ【ねずみとり】
本日オープンとなる若夫婦が切り盛りするホテルに三々五々現れる「若い建築家」、「口やかましい中年婦人」、「排他的な若い娘」、「退役軍人」といった宿泊客達。それに加えて豪雪に車を捉われた飛び入りの「外国人」も加わり、若夫婦が部屋を割り振っているところに、スキーを履いた若い刑事が現れる。
「殺人犯が身分を偽りこの屋敷に逃げ込んだ可能性がある」
若夫婦も客達も刑事の言葉を信じなかったが、やがて最初の犠牲者が殺人犯の手にかかり・・・
この内容であの200ページそこそこに収まってしまうのは驚異としか言いようがありません。
犯人はとある事情により、3人の人間を殺害する計画を立て、まず一人を別な土地で殺し、残る二人がたまたまホテルに宿泊予定であることを突き止め素性を変えて乗り込んでくる。
・誰が犯人なのか?
・誰が狙われているのか?
読者に二つの要素を推理させる面白い構成になっています。痛ましい過去の事件が引き起こす復讐殺人なんですが、あまりにも意外な犯人と、ちょっとコメディ調のクロージング、そしてあっさり気味なボリュームとで、今からミステリー小説読んでみようかな?という人にはもってこいのお手軽本なのではないでしょうか。
初心者向けみたいな書き方をしましたが、上記「犯人は誰」、「被害者は誰」の2点以外にも、実は
・本当の○○って誰?
とか、登場人物全員が2重の役割を持っていたりと、玄人向けとしても高い水準の一品ではないかと思います。
次は何読もうかなあ・・・
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