どんどん出て来る隠れた名作
クリスティーさんの「パーカー・パイン登場」を読みました。
全12編の短編集ですが、前6編がスパイ大作戦的なストーリーになってます。
あらすじ【パーカー・パイン登場】
新聞に「あなたは幸せ?そうでないならパーカー・パイン氏に相談を」という広告を出し、相談に来た人の悩みを個性的なチームと奇想天外な作戦で次々と解決へと導くパーカー・パイン氏はなぜか突然、単身エジプトに旅立ち、行く先々で出会う殺人事件を・・・以下普通の探偵小説。
作戦を遂行するのは以下の個性的なメンバー。
統計学の権威:パーカー・パイン
有能な秘書:ミス・レモン
イケメンダンサー:クロード・ラトレル
妖婦から清純派まで:マドレーヌ・ド・サラ
作戦の台本を考える小説家:アリアドニ・オリヴァ
他、あやしい博士等々・・・
多分この作品に限ってなんですが、クリスティーさんめずらしくスターシステムを使ってます。
秘書のミス・レモンはあきらかにポアロさんのトコにいる秘書レモンさんだし、探偵小説家のオリヴァ夫人も間違いなくいつもポアロに変な推理の横槍をいれるあのオリヴァ夫人のはずです。
いつも見当違いな推理しかしないオリヴァ夫人はあきらかに今作の台本書きとしての活躍の方が輝いてます!
このふたりがいてなぜメイドのあのひとがいないのか!
あ、でもメイドの使い道が無いか。女役は幅広演技(艶技)のド・サラ嬢がいるし。
読み始めてすぐ「おお!これはいい作品に当たった!」と思ったんですが、後半6編になって突然パーカー・パイン氏はエジプト方面に旅に出て、行く先々で殺人事件に出会う「トラベルミステリー」になってしまいました。
自信家ラトレル君も本心が読みにくいド・サラ嬢も明晰なオリヴァ夫人ももう出て来ません(超残念!!)。
うーーーーーん、後半も面白いと言えば面白いんですが、これはパーカー・パイン氏がやらなくても他の探偵さんにまかせればいいのに・・・もっと「宝石すり替え作戦」とか「カタブツ男たらしこみ作戦」とかそういうムリヤリ作戦やって欲しかったです。
なんか後半の路線変更を見てると「週刊少年ジャンプでマニアックながら小粒で光ってた漫画が途中からガラっとバトル漫画に変わってしまった」みたいな感があり、ちょっと残念でした。
面白いんですけどね。
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