金田一少年「謎はすべて解けた!犯人はこの300人の中にいます!(キリッ」
クリスティーさんの「死者のあやまち」を読みました。ポアロモノです。
十数年前に一度クリスティーさんにハマったことがあります。
私が幼少時、日曜洋画劇場でひたすらやっていた「そして誰もいなくなった」、「ナイル殺人事件(原題はナイルに死す)」、「オリエント急行殺人事件(原題はオリエント急行の殺人)」などをまず読みまくり、さらに「スタイルズ荘の怪事件」、「死者のあやまち」と来て、さすがに息切れ(飽きるともいう)してきたところにあの不朽の迷作「ビッグ4」を読んだんですよ。
クリスティーシリーズとビッグ4を知っている人ならわかってもらえると思うのですが、その当時私が
(ΦωΦ)「・・・もういいや」
と判断したのは理解してもらえると思います。
あれはヒドイ。今回の「クリスティーシリーズ読んでまえ」の中でも、どのタイミングで読もうか悩ましい1作です。
さてそんなこんなで、「死者のあやまち」は十数年ぶりの再読です。
さすがに犯人もトリックも覚えてます。しかしなぜそこに到るのかをスッポリ全部忘れてましたので、わりと楽しんで読めました。
あらすじ「死者のあやまち」
田舎にある大きなお屋敷で、付近の町民を集めてお祭りが催された。来場客はおよそ200人。さらにお屋敷のとなりにあるユースホステルから事情もよくわからず流れ込んでくる100名前後の外国人旅行客。そんな中、お祭りの出し物のひとつ「犯人当てクイズ※」で死体役の女の子が実際に絞殺体で発見された。と同時に主催者でもあり、屋敷の当主でもあるジョージ卿の若い妻が行方不明になる。
犯人はこの300人の中にかならずいる!
※お祭りの出し物のひとつ。一種のオリエンテーリングで、広い庭園のチェックポイントを回りながら最終地点のボート小屋の絞殺体を発見し、犯人が誰か?を当てる余興。
死体役の女の子は無作為に選ばれた女子団(ガールスカウトのようなもんですか?)の少女で、クイズが催されている間、漫画読んで時間つぶしながら、誰か小屋に近づいてきたら、首にヒモを巻いて倒れていればいいという段取りになってました。しかしこのクイズの脚本を書いた推理小説家オリヴァ夫人と、夫人に「優勝商品のプレゼンテーター」として呼ばれていたポアロが様子を見に行ってみると、本当に絞殺体となってそこに横たわっていたわけです。
登場人物は
1.大金持ち当主
2.その若妻
3.屋敷の元の持ち主の老夫人
4.その他祭りの手伝いさんたち
といういつものクリスティー劇団に加え、
5.祭り客200人
6.となりのユースホステルの外国人観光客100人
と、凄まじい顔ぶれです。
いやいやwww何言ってんのwwwその祭り客№164が犯人とか、ユースホステルの外国人観光客№35が犯人とか、ありえないでしょ!
と思われるかもしれません。
しかし、我々の相手はあのセオリー破りのクリスティーさんですからね。
わかりませんよww
まあ、とにかく、強引な犯人では無いです。解決編はすっきりと無理なく、しかも「ええ!そうなの!」というサプライズを付けて完結致します。
残念といえば残念なのが、原題はデッドマンズフォリィで、訳は「死者のあやまち」で間違いないのですが、「死者の阿房宮」とも訳せます。
ひとつの言葉でふたつの意味を持つ言葉をタイトルに使って謎解き部分に少しだけふくみを持たせてます。
日本語でもふたつの意味合いがある言葉は多いじゃないですか。
「天王山」とか「清水の舞台」とか。
「天王山での準決勝」というタイトルの野球漫画があったら、日本人なら「オオ!勝ったほうが優勝まで行くな?」と邪推しがちですが、外国の人だと「場所がテンノウザンなのね」と思うだけですし、「清水寺殺人事件」という小説があれば日本人は「犯人はよほど思い切ったことをするんだな?」と思い、外国の人は「場所が(以下略
と同様にデッドマンズフォリィという小説を手にとった英語圏の人はまず「殺害場所の2重の意味」と「死者が誰のことを指しているのか」をワクワクしながら読み進めていけるはずです。このプリミティブな意味が理解できていない日本人は、謎解きになるまでこの小説の真意がわかりにくい。
そのへんがこの本に限らず訳本を読む日本人として惜しいなあ、残念だなあと感じる所です。
翻訳コンニャク欲しい。
しかしそれでも充分面白い作品には違いないです。
最後の謎解きのところではじめて「ああ、あの阿房宮がねえ・・・」というのもまた楽しみ方のひとつかもしれません。
モヤモヤする書き方でごめんなさい。
次はそろそろ短編を読もうかな?
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