チョコレイト・BOX
クリスティーさんのポアロ短編集「ポアロ登場」と「ヒッコリー・ロードの殺人」をマイナス7度のあの国で読みました。
短編の方はひたすら冴えるポアロの推理と、絶対見当違いなことを言うヘイスティングズの対比のお話に終始します。
ただ、短編集最後の作品「チョコレートの箱」だけはめずらしくポアロさんの推理が外れるお話。
謎自体はそんなに難解とも思えないのですが、ポアロさんが外してそれを堂々と認めているあたりが、他作品と違った味を出しております。
短編集はとにかく長距離移動の暇つぶしにちょうど良いです。
さてポアロさんの長編「ヒッコリー・ロードの殺人」について
あらすじ【ヒッコリー・ロードの殺人】
夜会靴片方、電球、ホウ酸、リュックサック、聴診器、スカーフ、安物アクセサリー、高級貴金属等々・・・
盗難の法則性も個々の価値もバラバラな学生寮内の盗難騒ぎがひとつの解決を見たかと思いきや、最初の犠牲者が現れ、以降次々と犠牲者を生み出しながら、イミフメイな盗品群は明確な「盗まれた理由」を持って事件の上に並んでいく。
面白いですよ!
学生寮の盗品騒ぎをわざわざポアロさんが出向いてきて調査するというのも他事件とはかなり毛色が変わっていてユニークな開幕なのですが、以降の連続殺人もまた法則性の見つけにくい被害者勢で、「遺産相続」や「長年の恨み」といったいつものクリスティーさんのお題も今回無く、先の展開が読めない、愉快な作品でした。
そう、クリスティーさんの作品ではなかなかお目にかかれない「邪悪で自己中心的な犯人」というのも新鮮です。
変わらないモノと言えば・・・
そうグラディスは今回も登場!!
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コメント
こんにちは。
毎回のグラディス探しが面白くてたまりません!
こんなに頻繁に出てるなんて気づきませんでした・・・。
今回のグラディスは、メイドではないんですよね?(細かい部分は忘れてしまったので・・・)
投稿: かもねぎ | 2009年12月24日 (木) 21時11分
かもねぎさんこんばんは!
グラディス出てくるんですよねえ・・・けして私、登場人物中にグラディスがいることを確認して読む順番を決めているわけではないのですが、最近特に打率がいいです^^;
実は最近、とあるクリスティー作品を購入しようと「主な登場人物」のところを何気なく立ち読みしてたんですが、その中にすらすでにグラディスがいて、
「いや、さすがに狙ってるだろう?」
て言われそうなので、その作品は後回しにしました(汗)。
今回のグラディスはメイドじゃないんですよ・・・そこがちょっと残念(←なにか間違ってる!)。
グラディスって名前に特徴があるので私の中で余計に印象に残るのですが、ジョージなんていうありふれた名前などはかなり頻繁に出てきてる気がします。実はそろそろ「ハバート夫人」というのも結構出てきてないか?と疑い始めている私です。
ゆがんだ楽しみ方のようで困ります。
投稿: 早瀬五郎 | 2009年12月25日 (金) 00時19分