心の優しいひとは分別がない
クリスティーさんの「魔術の殺人」読み終わりました。
あらすじ【魔術の殺人】
非行少年を集めて更生を支援する慈善事業家セロコールド氏とその妻キャロライン。
マープルはキャロラインの姉ルースから、「妹の周辺に不穏な気配を感じてならない。見に行ってもらえないか」とたのまれ、更生施設兼セロコールド氏の邸宅に客として乗り込む。
そこにはキャロライン1人目の夫との間の実子、養女の娘、その夫、2人目の夫の連れ子兄弟などが皆、独特の雰囲気で暮らしていた。
当たってましたよ。私が予測した犯人。
しかも、最初の被害者が誰かもわからないうちに、犯人だけがわかりました。
ポルナレフ「何を言ってるかわからねーと思うだろーが(以下略
読んでいて、あ!今、誰かを殺してきたな?
という瞬間があります。
今までクリスティーさん他、色んなミステリー読んで来ましたが、この作品だけちょっと特殊だと思いました。
クリスティーさん、犯人のことを書きすぎていると思います。
(さじ加減の多寡は人によって差があると思いますが、私はそう感じました)
この作品以外で著者が犯人のことを正直に描写しているものって・・・
うーん、あんまり無いような気がします。
今ちょっと考えて思い浮かぶのは横溝さんの「獄門島」くらいかな?
もちろん犯人以外にもあやしい人間がたくさん登場するのですが、最初に犯人に気付いてしまうと、以降の展開すべてに整合性が取れすぎていて(それは小説としてあたりまえのことなのですが)他の人はまったく疑えません。
「いやいや、どんなにあやしくふるまっても君はかませ犬だよ」
そう思えてきます。
犯人が早めにわかっても充分面白い小説なのですが、個人的なマイナスポイントは「登場人物が多いし血縁関係が複雑すぎる」ということです。
物語のキーになるキャロラインという人物が3回も結婚していて、養子、向こうの連れ子、実子、最初の夫の兄弟など入り乱れて、読んでいて私の頭上は??だらけです。
で、最初の100ページくらいを何度も行ったり来たりして読み返していくうちに、人間関係が把握できると同時に、その100ページを越えたあたりで犯人がくっきりと見えました。
マープルさんの独り言も、今回は的確すぎ。
秋はやはり読書に向いてますね。引き続き「書斎の死体」、「NかMか」を読みたいと思います。
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