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2009年8月18日 (火)

廉潔の巨悪

Zm090818
クリスティーさんの「愛国殺人」をとっくに読み終わってたのですが、記事にするのを随分放置しておりました。
いつも言ってるような気がしますが8月は忙しいぃ~~。

※今日の記事、若干ネタバレギリギリを狙ってますので、ほんの少しも予備知識を入れたくない人は、華麗にスルーでお願い致します。

あらすじ【愛国殺人】
今朝ポアロ自身が治療してもらった歯科医が拳銃自殺した。この歯科医が同日に治療したギリシャ人が麻酔薬の過量投与で死亡しているのが発見される。医療ミスを苦にしての自殺か?
ポアロが挑んだのは歯科医の自殺や患者の事故死という事象ではなく、イギリスそのものであった。
巨大で卑劣でそして奇妙なことに公明正大な犯人を捕まえて、ポアロの心は晴れない・・・

チャレンジャブルな作品です。「愛国殺人」というタイトルは、すべて読み終わったあとで考えても、オチ丸出しのようにも思えますし、事件の根本から目をそらす「いいタイトル」のような気もします。
すべて読み終わって、タイトルを見て、1章を読み直して、「ああ」とナットクする作品です。

しかしこの作品の一番のハッタリ所は各章のタイトルです。

◇いち、にい、わたしの靴のバックルを締めて
◇さん、しい、そのドアを閉めて
◇ごお、ろく、薪木をひろって
◇しち、はち、きちんと積みあげ
◇くう、じゅう、むっくり肥っためん鶏さん
◇じゅういち、じゅうに、男衆は掘りまわる
◇じゅうさん、じゅうし、女中たちはくどいてる
◇じゅうご、じゅうろく、女中たちは台所にいて
◇じゅうしち、じゅうはち、女中たちは花嫁のお仕度

◇じゅうく、にじゅう、私のお皿はからっぽだ

という全10章は、例によってマザーグースの歌詞のセンテンスごとが各章のタイトルであり、その歌詞に即したストーリー展開になっています。
それは正直こじつけっぽいところも無くは無いのですが、それでも「廉潔の巨悪」という矛盾した犯人を捕まえたのちのポアロの「私のお皿はからっぽだ」という嘆きは、味わい深いものがあります。

良い小説でした。こういう小説をもっと読みたい!

実は「スタイルズ荘の怪事件」ももう読み終わってそろそろ「ねじれた家」を読み始めているところなのですが、時間が無いのでスタイルズ荘の感想は後日に・・・

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