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2009年7月 1日 (水)

ミュンヒハウゼン出版または壟義盾行

なんか矢継ぎ早にクリスティーさんのミステリー読んでますが、けして流れ作業のように読んでいるわけではありません。
面白いんですよ。やめられないんですよ。ダイナミックなんですよ。
造形もやってるんですが、小ディテール進行なんで地味なんですよ。

さてそんなこんなでポアロ物の「ひらいたトランプ」読みました。
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今回は探偵役がポアロ含め4人おりまして、それぞれが上手く機能しあって最後にポアロがやはり意外な犯人を突き止める流れになってます。

あらすじ【ひらいたトランプ】
悪趣味人を装うシャイタナ氏が開いたパーティーに、8人の人物が招待された。
4人4人のテーブルに分かれて食後のブリッジ(トランプゲーム)に興じていたが、全員がブリッジに夢中になっている間に、ゲームに参加せず8人から離れ暖炉のそばに座っていたシャイタナ氏が刺殺されていた。
暖炉に近いほうのテーブル4人
「医師ロバーツ」、「老夫人ロリマー」、「美男の冒険家デスパード少佐」、「おびえている若い娘アン・メレディス」は皆一様に秘した過去を持ち、シャイタナ氏に目をつけられていた。
離れのテーブルでブリッジをしていた4人
「ポアロ」、「バトル警視(『殺人は容易だ』他多数)」、「レイス大佐(『ナイルに死す』等)」、「オリヴァ夫人(ポアロ物多数)」は、各々探偵、警視、諜報員、探偵小説家という立場から、競い合い、協力し合い事件を解決する。

小説というのは「わかりやすさ」が一番のポイントだろうと思います。
(「犯人がわかりやすい」というのはダメですが・・・)

1人の被害者、暗い過去を持つ4人、探偵役4人。これ以外その場にいた登場人物はいません。真犯人は暗い過去を持つ4人の中にしかいないわけです。

非常にわかりやすい図式です。

探偵役はクリスティーさんにしては珍しく、クロスオーバー型で、オリヴァ夫人以外は皆、主役となる小説を持つほどのビッグネームが「夢の競演」をしました。
Zm090701_02 
さすがにマープルまでは持ってこなかったですね。マープルかポアロか、どちらかの探偵が解いてしまえば、片方が役立たず扱いになりますからね。
またこの「過去事件を起こしながら裁かれていない医師、老夫人、冒険家、若い娘」というのが「そして誰もいなくなった簡易版」のようにも見えますが、今回の犯人は見事主催者を殺害してしまいましたので内容はまったく逆になります。
そんな色んな要素を盛り込んだ今作ですが、「ブリッジのルール」という最大の壁が我々の前に立ちはだかります。「ブリッジ」というゲームのルールを知らなくてももちろん小説は楽しめるように出来てますが、ルールを知っていればより細かな部分で楽しめるのは間違いないです。
エディーマーフィーやジムキャリーの映画をアトムさんや山チャンの吹き替え版で見て多分3割(推定値)くらいしか笑えないのに似てるんですかね?
で、ブリッジをおおまかにしか知らずに全部を読んだ私の感想で言えば、ブリッジのところは「いたスト」とか「マリオカート」に置き換えても、なんとかなりそう。マリカーは乱暴か・・・
重要なのは、4人でゲームをするとはいうものの実際は2対2に分かれて(対面どうしがコンビになります。テーブルに協力という橋がかかるからブリッジというらしいです)チーム戦になり、2人のうちの片方がダミー(休み状態)になっている時は自由に席を外すことができ、他の3人のため飲み物持ってきたり、外の空気を吸いにいったり、軽食をとったり、殺人したりと何でも出来る状況にあるということです。「2対2で7ならべ」が少し近いかもしれません。
「ちょっとトイレ行ってくるから、オイラの札出しておいて、スペードの5は止めておいてね」
みたいな感じ・・・いや遠いかな・・・

実際問題ポアロはブリッジの得点表を眺めてゲームの進行を見ながら、4人各人の心境の変化という心理面から推理を進めますが、多分ブリッジ熟知の読み手が勝ち負けの盛り上がり盛り下がりを100%理解出来ていても、そこから犯人は割り出せないはずです。
今回も4人のうちにいる真犯人は2転3転、犯人はロバーツ?いやデスパード?まてまてキター!あの若い娘だ・・ほうらね・・いやひっくり返された、あ!老夫人?いや、若い娘に戻ってきたと思ったら違うデスパードだったいや何言ってんの・・・と物凄いツイストがかかります。もうヘトヘトです。

とにかく8人全員行動的で読んでいてリズムもあり、なかなか楽しませてくれますが、全クリスティー作品で上位に来るか?といわれれば微妙な感じ。
犯人に叙情的な風情と重い業を求める人は読んでいて物足りないかもしれませんが、濃厚なパズルゲームを読みたいという人には向いてます。
次、どっち読もうかなあ。

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