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2009年4月 6日 (月)

グラディスの魂

クリスティーさんの「ポケットにライ麦を」を読みました。
例によって、ポアロよりマープルさんのほうが冷酷な殺人者と対峙することが多いようです。

あらすじ【ポケットにライ麦を】
投資信託会社社長レックス・フォテスキューが自らのオフィスで遅効性の毒で殺される。被害者の背広のポケットにはライ麦がつめられていた。
社長の家族や使用人が疑われるが、もっとも怪しいとされる若い後妻が、図書室にて午後のお茶の最中、即効性の毒で殺される。
いよいよもって最初から挙動の怪しかった、最近屋敷に勤め始めた若いメイドが疑われるが、そのメイドのグラディスも、庭で絞殺体で見つかる。
メイドの鼻は洗濯ばさみでつままれていた。
若いグラディスを躾け、メイドとして働けるよう面倒を見たマープルはフォテスキューの屋敷に乗り込んでくるや、担当警部に「わらべ歌による見立て連続殺人」であると告げる。

 ポケットにライ麦を 詰めて歌うは街の唄

 ~中略~

 王様お庫で宝をかぞえ
 女王は広間でパンに蜂蜜
 若い腰元庭へ出て乾しに並べたお召しもの
 そこへ小鳥が飛んできて可愛いお鼻を突っついた

マザーグースの歌に乗せ、次々と殺人を行う異常な犯人を、マープルは見つけ出すことが出来るか?

クリスティーさんの作品を読みまくっている人には、わりとわかり易い犯人かもしれません。
犯人の意外さよりも、なぜ見立て殺人になったか?そっちの方が物語の主軸のように思えます。

見立て殺人というと、作中では「犯人は頭のおかしい人間」と見られがちなのですが、和洋問わず、ミステリー小説で見立て殺人をやる犯人は、どちらかというと論理的な人です。
歌の内容に即して順次殺人を行っていくのは、探偵側に気付かれた時点で先読みされてしまうので、非常に危険な賭けなのですが、それを押し通してでも、犯人は見立て殺人をやらねばならない。そこには見栄や自尊心などとは無関係の「見立ての必然性」しか存在しない。犯人はいったい何を探偵の目からそらせたかったか?
見立て殺人小説はいつもそこがポイントになります。

文句無く面白かったです。
今度はポアロ側の見立て殺人モノを読もうかな?

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