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2009年2月16日 (月)

破壊と再生の人間賛歌

宮部みゆきさんの「あかんべえ」を読みました。
ジャンルは時代小説・・・かなあ?
時代劇ミステリとか時代劇ホラーとかでも良いかもしれない。
Zm090216

主人公は料理屋の娘おりん12歳。
おりんの父太一郎が独り立ちして営む「ふね屋」が新装開店間近というある日、彼女は高熱を出して寝込み、三途の川をさまよった際、そこで出会った老人とのあるエピソードにより、生還後お化けが見える体質になってしまう。
その目でいざ父の料理屋を見てみると、そこには改装前からいたと思われる5人のお化けがいた。

1.美男の若侍
2.三味線で唄う艶っぽい姐さん
3.命が危なかったおりんを助けてくれた無愛想なアンマ
4.刀を持って髪を振り乱して暴れる浪人
5.おりんに向かってあかんべえしかしない少女

彼らはなぜ「ふね屋」に居ついているのか?
物語は徐々に30年前の大量殺人事件の真相へと近づいていきます。
5人は何者だったのか?

この小説はおりんと5人のお化け以外にも魅力的な人物のオンパレードです。
特に物語前半においてあんなにイヤなヤツだったヒネ勝というアダ名の少年が、物語後半で料理屋の料理のあり方について語るくだりは読んでいて爽快感すらあります。
「よし!ヒネ勝がいいこと言った!モノスゲーいいこと言った!」て感じ。

30年前、多くの人間を殺して行きながら、「仏よ、居るのなら、この私を罰せよ」と祈り続けるシリアルキラーにも、作者の単純ではない複雑な愛と許しが込められていて、感心。

言いたいことは山ほどあるのですが、あんまり言ってるとスゴイネタバレになってしまうのでこのへんで・・・
今の私の中では火車に匹敵する名作です。

なぜ本のタイトルがあかんべえなのか?
「おりんに向かってあかんべえしかしない少女」に与えられた役割は大きい。

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