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2009年1月27日 (火)

妄念VS神将

宮部みゆきさんの天狗風、あざやかに読み終わりました。すかさず金田一モノの「華やかな野獣」を読み始めてます。
個人的意見ですが「華やかな野獣」は息抜き程度の内容ですね。分量的にも天狗風の5分の1くらいです。サラーと読めそう。

さてその天狗風なんですが、私の好きな「捕り物帳型ミステリー」というより、「ファンタジー娯楽大作」という感じでした。
前作「震える岩」エピローグにて父上である与力古沢様に許しを得て、与力の道を捨て本格的に算学者の道を歩み始めた右京之介さんは、今回出番少なめ。
そのかわりサイコメトラーお初ちゃんとコンビを組んで事件にあたるのは「コピー能力者」の鉄
お初と鉄が追いかける事件は町娘連続失踪事件。
事件の周囲で暗躍するのは
・着物に取り憑いた肥大した自我意識
・町娘誘拐に便乗して身代金を要求するが次々殺されていく3人組
・検挙率ナンバーワンのどこまでもグレーな同心

ミステリーにつきものの、「あの人悪人かと思ったら実は・・・」とか、「あの人達ケチな便乗犯かと思ったら実は・・・」といった右へ左へのゆさぶりで、読み手を飽きさせません。
ファンタジー小説ってあまり好きじゃないので、つとめて淡々と読むようにはしたのですが、終盤はやはり盛り上がりますね。

特に、ファイナルファンタジーⅢの「ザンデ」→「暗闇の雲」のような「妄念のカタマリ」という趣きの今作のラスボスを異界にまで追いかけて戦うにあたり、見えざる敵を見極めるため、お初が右京之介からメガネを借りるくだりは一番の山場です。
物語の世界観・ルールからすれば「そんな江戸時代のメガネで見えるわけないでしょう」なのですが、お守りとして、また現世に戻ってくるためのカギとして現世の人間からアイテムを借りる。

異界にて、

お初ちゃんがラスボスから痛撃を喰らった時、

ヒーローモノの超最大お約束、ふところから転がり出るるひび割れたメガネ!!!!

そして今まで、ふざけた事にしか使われなかった鉄のコピー能力が本当の意味を成し、醜い妄念を封印。

帰還・大団円

・・・
大変面白かったです。
続編がなかなか出ないのはこの2作目でやれることをやりつくした感があるからかもしれません。

続編は出てほしいのですがね・・・

仕方ないので、金田一モノをサクッと読んでから、霊験お初シリーズのプロトタイプ2作を含む短編集「かまいたち」を読み始めることにします。

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