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2008年12月23日 (火)

ホワイダニット捕物長

宮部みゆきさんの日暮らし上・中・下巻を読みました。
先日少し書きましたが、同心井筒平四郎が鉄瓶長屋の怪事件に巻き込まれる時代物ミステリー小説「ぼんくら」の続編です。
なかなかイメージしにくい部分がありますが、「X-MEN捕り物長」と大つかみに把握しておいてください(ええ!?)。

誰かが殺されて、不可解な現場の状況であるけれども、色んな人の協力で驚愕の真相が見えてくる。膨大なページ数でありながら、読んでいて飽きさせないどころか、残り少なくなってくるのが寂しい・・・そんな小説でした。
※以下、ミステリー小説なので極力ネタバレはしないつもりですが、奥歯にモノが大量にはさまってるような書き方なのはご容赦ください。

前作同様、平四郎の旦那率いるレギュラーメンバーは
「後家さんも寺子屋の少女も若妻も独り身もふくめ全ての女性が振り返る美少年・弓之助@今回は計測グセは控えめ」
「聞いたことをすべて記憶して再生可能という、明らかなスタンド能力者・三太郎少年」
「押し出しの強い、{昔まわりがドン引きするような悪でしたが、今は折り目正しい岡っ引きですよ}の政五郎@今回も助っ人」

「伝書鳩代わりの頭の良いカラスを連れた若い元差配人、現植木職人の佐吉」は今回、わけあって脇役(重要な脇役ですが)。

やはり前作同様、起こる事件の大もとは湊屋総右衛門その人です。
続編でやっと劇中に登場した湊屋総右衛門は、今回の事件が解決してもまだまだ小出しな感じでもっと大きな業を隠していそうです。
湊屋の3人(順に男・男・女)の子供のうち、前作で思い切り活躍した長女は今回名前のみ。
長男宗一郎は逆に前作ほとんど出てないのに、今回出自についての大きなネタバレを引っさげて参戦。このひと、とてつもなくいいひと。
次男宗次郎は名前しか登場せず・・・

長男次男の物語で続編が出てもいいでしょう?どうなんですか?

これ以外にも多数登場人物はいるのですが、皆魅力的で厚みのある、血の通った描写がされております。
前作では名前程度しか出てこなかった久兵衛さんなど今作は大活躍で読んでいて嬉しい限り。小説の中に登場してきてその名前が披露される前に読み手に気付かせるようなストーリーの運び方が上手すぎる!多くの人が読んでいて
「この人が久兵衛さんだ!間違いない、やっと会えたよ、なんで前作でちゃんと出てこなかったの!」
と唸らされるはず!
その代わり今回の事件で佐吉の大事な人と大事な相棒が退場となるのは非常に残念。
佐吉の大事な人の方は前作で印象悪い描写でありながら、今回あざやかに登場してきて、物凄く期待させておいて、嵐のように去っていく。いいひとだった・・・
このへんは宮部さん非常にドライといいますか、「人気や好みでキャラを引っ張ってまずい料理になる週刊連載の漫画」みたいな下手は打ちません。
ミステリー小説というよりも、キャラクタの転がし方に重点を置いているので真犯人などは意外と簡単に推測がつきます。
というより、わかりやすい犯人なのに、そこにたどり着く理屈がわからない。
スタートとゴールだけ見せられて、途中に関しては8割読んでも見えてこない。
上・中・下巻でそれぞれ300ページ弱(合計約1,000ページ)くらいあるのですが、真犯人を追い詰めて謎を解いていくのは下巻の残り30ページくらいになってからです。
途中で読むの止められないわけですよ。
コマルナァー。

回向院の茂七親分の話に登場する屋台のわけあり親父の正体が永遠に謎のままなのも気がかりですが、それを差し置いても井筒の旦那の話はもっと量産されていいと思います。

というわけで次の本「流星の絆」を読み始めるわけです♪実は東野さん作品は今回初!

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