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2008年11月27日 (木)

金田一はホテルのボーイ役

先週の旅行の新幹線移動、行きで「病院坂の首縊りの家・下巻」、帰りで「幽霊男」(ともに金田一さんシリーズ)を読みました。
Zm081126_05
※上下巻ともに中古品なので、表紙デザイン時期はバラバラ。絶対旧表紙(下巻)の方がいいと思うんですが。

Zm081126_06
これも旧版の表紙。

幽霊男の感想は、「そこそこ」です。

以上。あらすじ3行もナシ。

ツマラナクは無いですけどね。意外でも痛快でもない感じ。
幽霊男というタイトルからしてB級ホラーぽい感じですがそのイメージのままの内容。
こういう正体不明の怪人がいたとして、金田一モノに限らず、おおかたのミステリーではひとり二役だったり、ふたり一役だったり、最初の怪人を殺した男が怪人になりすましていたり等、ありがちな展開が見受けられますが、本作もそう。
そこにはあまり大きなサプライズは無いです。
読み手は

「この時の怪人はAで、あの時の怪人はBだろうな」

と思いをめぐらせながら読むのが吉。
というより、他に楽しみようが無いんですよ、この小説。トリックも強引だし。

それよりも病院坂の首縊りの家ですよ。

これは大作でした(傑作では無い)。
感想は日を改めてじっくり書きます。
金田一モノであそこまで切ない物語って、なかなか無いような気がします。
昭和28年(上巻)の登場人物は昭和48年(下巻)のお話にもほぼ全員登場するのですが、全員何かしら意外な変貌を遂げて再登場します。
変わらないのは金田一くらい。

病院坂の首縊りの家というタイトルからは乖離した感のある、「アングリーパイレーツ」という名の7人組のジャズバンドが登場するのですが、このメンバーが私のイチオシです。
特に20年経って、ギラギラ感が1億%抜けてしまってからの枯れた描写が泣かせます。
ラストの墓参りのシーンは本当にジワッと来ます。
ああ、あんなにいがみあっていたのに、根っこの部分ではお互いを想いあっていたんだなあ・・・と。

前にも書きましたようにシリーズ最大長編なんですが、特に苦もなく読めます。
傑作では無いですが、運命の重さを感じる佳作なのではないかと思います。

うん。もうちょっと整理整頓して感想を書きたい・・・

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コメント

 「病院坂の首縊りの家・下巻」表紙、新郎が風鈴仮面に見えて面白いなぁ、と。いえ、それだけなんですが(^_^;

投稿: こにしのぶお | 2008年11月29日 (土) 00時22分

こにしさん今晩は!
この下巻の表紙絵、実は多くの意味がこめられてます。
上巻の絵はこの構図のまま色がカラーで、風鈴には風受けの短冊がついており、風鈴の元の持ち主の詠んだ句が書いてあり、それが下巻でちぎれていて、写真も色あせている・・・という構成です。

かなわなかった妾女の小さな望み、
絶望して縊れて死んだ母が残した幼い兄妹、
鳴らない風鈴に思いを殺して生きてきた兄、
兄の意思を継いで20年生きながらえた妹、
決意の結婚写真・・・

この小説が持つ根幹の要素をすべて取り入れたこの表紙は、なかなか味わい深いものがあります。
新郎が風鈴仮面に見えるのは、実はものすごく正しい解釈です。
機会があれば、ぜひ読んでみてください♪

投稿: 早瀬五郎 | 2008年11月29日 (土) 22時13分

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