ヒロインは全身タイツ
造形趣味が一区切りつきましたので、横溝さんの金田一シリーズ「三つ首塔」を読みました。400ページに満たない中長編です。
あらすじ3行「三つ首塔」
宮本音禰は百億円という財産を突然相続することになったよ。
相続するには指定人物と結婚が条件→その人死んだorz
他に相続候補が6人いるけどそれもバタバタ死んでいくよ。
なんというか、正直微妙・・・
内容的には・・・そう、「八つ墓村」と「犬神家」を足して3流エロ小説に仕立てたような筋立てになっております。
ミツクビ塔ファンの方、ごめんなさい!
物語はヒロイン宮本音禰(みやもとおとね)の視点で進んでいき、金田一はめったなことでは出て来ません。恋人気取りの強引な高頭君に色々助けてもらいながら、絶体絶命の危機を何度も脱していきます。
(このへん、かなり八つ墓村)
遺言の指定する人物と結婚しないと、莫大な遺産はもらえない。
その指定の婚約者は早々に殺されてるんですが、ミステリ小説マニアの誰一人として、それが本当の婚約者だなんて思わないでしょう。横溝ミステリで「あの人本当に山田トン平さん?」て言う人が山田トン平さんだったためしが無いですからね。
(このへん、かなり犬神家)
ヒロイン音禰が物語後半で暗がりに避難するところまで八つ墓村とソックリ。
犯人の動機が物語の根幹から微妙に外れた位置にあるというのも八つ墓村とソックリ。
あらすじ3行に書きました通り、ヒロイン以外に
ダンサー姉妹
双子姉妹
16歳のみずぼらしい少女
40代御婦人
と、6人のセカンド候補がいます。
最初の遺言「音禰ちゃんと指定人物が結婚して全額相続」が消え、遺言の第二条項「音禰ちゃん含む7人で均等割り」が行使されることになります。
人数が減れば分け前が増えるという寸法です。上記の各候補の恋人や養父というオマケを含め10人の怪しい人達が音禰ちゃんを睨んでいるわけです。
誰がどうとは言いませんが、
犯人によって8人が殺され、1人が犯人以外の者に殺され、2人が自殺という大惨事です。
11人、死んでます。
何してるんですか金田一さん!死にまくりじゃないですか!
その間、音禰はある人から監禁され、逃げた所を別な人に監禁され、また別な人から全身タイツを着せられ、ほかにも縛られたり、連れ込み宿に連れ込まれたり、古井戸に落とされたり、幽霊に会ったり(苦笑)と酷い目に遭いっぱなしです。
典型的な「巻き込まれ型主人公」です。
音禰の人物造形は古いタイプの清楚な乙女。読み手はその酷い目の遭いっぷりに思いを馳せてニヤニヤしながら読むべきなんでしょうか?
「あの娘があんな目に!」とか・・・
あまり良い趣味では無い気がします。
しかも清楚な乙女の割には「わたしだって人間だもの。欲がないわけではない」とか、「みだらがましい歓楽に身をおぼらせて」とか、以外と欲望に忠実だったりして、なんだか笑えます。
あと、犯人も予想以上に意外な人物なのですが、正直これだけバタバタ人が死んでいくと、もうアノ人しか残ってないジャンて話ですよ。
しかも犯人の動機と隠蔽ギミックがマッチしてないんですよね。
その動機でその行動はおかしいでしょう!と小一時間(ry
横溝さん途中まで犯人を決めずに書いた感がありますね。
というわけで、ここまで読むのを取っておいた意味はあまりありませんでした。
もう、「悪魔が来りて笛を吹く」読むしかないなあ・・・
続きを読む以降は残る未読作品一覧!
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本文続き・・・
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☆☆未読作品一覧☆☆
悪魔が来りて笛を吹く(入手可)
悪魔の百唇譜(入手可)
病院坂の首縊りの家 上・下巻(入手可)
吸血蛾(多分絶版)
幽霊男(多分絶版)
夜の黒豹(多分絶版)
死仮面(多分絶版)
迷路の花嫁(多分絶版)
廃園の鬼(多分絶版)
毒の矢(多分絶版)
黒い翼(多分絶版)
魔女の暦(多分絶版)
暗闇の中の猫(多分絶版)
華やかな野獣(多分絶版)
鏡が浦の殺人(多分絶版)
壺中美人(多分絶版)
スペードの女王(多分絶版)
扉の影の女(多分絶版)
火の十字架(多分絶版)
全77作品中あと、19本!
手に入らない、入りにくい本もありますが・・・
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