皆実町と旭町
先週からずっと迷ってたんですが、結局こうの史代さんの「夕凪の街桜の国」を買ってしまいました。
紹介記事書くの難しいですね。全部読むまで知らなかったんですが、「夕凪の街桜の国」でひとつの物語なのではなく、「夕凪の街」という昭和30年頃の物語と、「桜の国」という現代の物語、二つのお話を1冊に収録してある形になってます。
正直に言いますが、重たい話ですよ。
グロテスクな描写はほとんどなく、やわらかい絵柄でほのぼのと話は進んでいきます。
いろんな人に読んで欲しいなあ。
普段めったに漫画を読まないうちの嫁さんもめずらしく、ハマってます。
夕凪の街は35ページほど。
皆実(みなみ)という女の人の、35ページしか生きられなかった物語です。
桜の国は60ページほど。
関東に疎開していて被爆しなかった皆実の弟、旭(あさひ)君が姉の50回忌に故郷に帰る物語です。
(旭君といってももう高齢なんですが)
ふたつあわせても100ページいかず。あっという間に読めるのですが、何回読んでも鮮烈で、何回読んでも発見があります。
いや、1回、2回読んだくらいでは、すべてを汲みつくすことは出来ないと思われます。
「夕凪の街」は特に読むのが辛いですね。
疎開した弟は除外するとして、姉妹の中で自分だけが行きのこり、そのことに引け目を感じながらも、愛する人の告白を受け、人としての幸せを掴もうとした時に、原爆症という恐ろしい病に追いつかれてしまう。
あの日、必死で逃げたはずなのに。
10年も経ったというのに。
「原爆を落とした人は、『やった、またひとり殺せた』とちゃんと思うてくれとる?」
というヒロインのつぶやきが、痛すぎる。
こんな何度でも読める本というのは、そうは無いと思います。
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