難解なようで、実は簡単な理由
宮部みゆきさんの「理由」をゴールデンウィークに読みました。
火車に続いてこれも長編ミステリです。
しかし、基本的に宮部さんの作品は「犯人当て」というミステリではありません。
注意深く読んでいると、だいたい犯人は見当がつきます。
「ああ、この人犯人だろうな」
という人が犯人です。
あらすじ産業株式会社「理由」
高級マンション2024号室の家族4人が何者かにより惨殺。
誰が被害者だったのか?
誰が加害者だったのか?
犯人が誰か?という事よりも、この小説は、
「なぜ、その事件は起きて」
「誰が誰を殺害したのか」
そこが重要なポイントになってます。
小説は、事件が解決してしばらく日数が経ってから取材を始めたルポライターの取材記のような形で進んでいきます。
「その時何が起こったか?荒川区マンション殺害事件を追う」的なNHK特集のような感じですね。前述のルポライターの心象風景など一切出てこず、ひたすら事件関係者へのインタビューのみで構成されています。
膨大な量のインタビューですよ。
物凄い登場人物数です。多分私が今まで読んできた中で、最大の登場人物数でしょう。
で、その膨大な登場人物の中で、自分視点を持っているのは2~3人しかいないでしょう。
「自分はこの先、どうしたらいいんだ」
みたいな心の葛藤が描かれるのは・・・多分ふたりしかいないはず。あとの登場人物の描写はひたすら警察の尋問に答えているか、インタビューに答えているかの2通りしかない。
「何十人という事件関係者の証言から、徐々に事件の真実の姿が見えてくる」という趣向です。
面白い小説ですね。かなり実験的な気もします。
登場人物の中に、何人か、どうしようもないダメ人間がいますね。
石田直澄
小糸信治
宝井綾子
この3人は、ほんとうにダメです。
もうね、ほんとうにダメです。
ほんとにね、ほんとうにダメです。
・・・もうね、ほんとうにダメです。(4回言ったよこのヒト)
何が、どうダメかってね、文字にするのもイヤなくらいダメ人間です。
読んでいて、真剣にムカムカしてくる。
宮部さん、描写していてムカムカ来ないのかな?
これから読もうと思っている人は、この3人に注目してください。
ほかにもダメな人は出てきますが、この3人、ダントツ。
もう読んじゃったので、ネタバレ平気とばかりにこの作品を色々調べてみると、2004年に映像化されているようです。
上記ムカツク3人に絞って配役を見てみます。
石田直澄(勝野洋)
小糸信治(山田辰夫)
宝井綾子(伊藤歩)
んーーーー、意外ーーーー!
勝野さんに、あのムカツキ加減は出せるだろうか?
知的なイメージの伊藤さんにあのバ○女役出来るだろうか?
山田辰夫さんだけ、少しわかるような気がしますが・・・
とにかく面白かったです。読んで損は無い本と言えるでしょう。
犯人の怪物ぶりも良い。
調子に乗って先週土曜、宮部さんの現代ミステリから「R.P.G. 」を購入しました。
(ついでに火鳳燎原5巻も購入。バラバラに集めてます)
「R.P.G. 」は別に何かの略称というわけではなく、みなさんご承知のあのロールプレイングゲーム です。
でも、読んでいく限り(当然ですが)、馬車も出てきませんし、「いのちをだいじに」みたいなこともありませんし、エクスカリバーも出てきません。
まあ、ようするに、「何者かが何かを演じている」という前フリなんでしょうけど、宮部さんの小説なんで、そう簡単にはいかないはずです。
サクサク読みます。
金田一シリーズはどうするんだ、五郎!
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