肩こりが治るスパゲティ食べたい。
The Book読みました。(いや、読んだのは1週間くらい前ですが)
前にも少し書きましたが、乙一さんのJoJo4部小説です。
以下、私が勝手に思ったことですので、南仏プロヴァンスの、のどかな田園風景のようなおだやかな心でお読みください。
ネタバレするわけにもいかないので、ぼんやりした書き方になりますが、それもご容赦ください。
「ほんのわずかなネタバレもだめです」という人は、ここから先、読まないでください。
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The Book感想
大変良い小説だと思いました。
悲しくも、心に勇気の灯がともるお話です。
400ページ弱は一瞬の旅のような気がします。
3部、4部、5部すべてのノベライズを読みましたが、今作が最高峰です。
ただ、JoJo4部のお話と言われると、少し向いている方角が違う気がします。
この物語にはふたり、新手のスタンド使いが登場します。
スタンド名を書くと、このお話自体に仕掛けられたトリックがバレてしまいますので、「隠蔽者」と「記録者」のふたりとします。
私は「隠蔽者」がこの物語のラスボスだと思ってます。
もう一方の「記録者」は、その母親からの黄金の精神を受け継いだ、正しきものでなければならないはず。しかしそうはならなかった。母の思いをゆがめて受け止め、正しく行使しなかった。
鈴美から受け継いだ露伴にはなれなかった。
グロリアから受け継いだエルメェスにもなれなかった。
マリオから受け継いだシーザーに遠く及ばなかった。
しかも、無関係としていいはずのもうひとりの登場人物に最後で重い業を背負わせる身勝手さ。
人間賛歌はどこに行ったのだといいたい。
「記録者」の最後の締めかたも、なんだかお決まりっぽくて、やり逃げ感が高いし、そのままでは仗助が悪者になってしまう。
仗助の子供のころの高熱エピソードも前ふりがクドすぎて、いよいよのシーンで機能しない。
何度も狼がねぇ・・狼がさあ・・・と言われて、いまさら「狼キタヨー」と言われても、「なに!オオカミが!」と興奮しない。
もっといえば、康一君のエピローグも蛇足。あそこだけ、妙にウェットで、逆に後味が悪い。
康一君はそんな優しい男じゃないはず。
康一君がそんなセンチメンタルなだけの人間だったら、由花子さんも露伴先生もジョルノも承太郎も彼を認めないはず。
とまあ、文句ばかり書いてしまい申し訳ありません。
いいところもたくさんあります。
億泰ファンの私にとって彼がカッコイイのが心の救い。少し頭が良すぎるのが難点。
露伴先生と康一君の使い方もうまい。
由花子と康一君の使い方もうまい。
あのふたりが連携プレーで事件を追ってる姿だけで
「(ノ∀`)<キャー」てなる。
膨大な量の原作とのリンクもニヤニヤしっぱなし。
あと、、、
現行の物語と違う時間軸で展開する「飛来明里の物語」は、本当に暗く、悲しく、しかし英知と勇気にあふれ、彼女の心の変化も細やかで、人間賛歌ここにあり!と胸を張っていえます。
あのエピソードだけ、切り取って1冊にまとめて、毎晩寝る前に読みたいくらい。
あと、「隠蔽者」のゲスっぷりも最高。読んでいて胸が悪くなるくらいなゲス野郎でした。
DIOや吉良やプッチ神父のような、
「悪で賛成できないけど、ベースの考え方は理解できる」
という部分が無い!
ここまで突き抜けて強大なゲス野郎だと、逆にすがすがしい。
だからこそ、最後の最後は「隠蔽者」VS「記録者」にならなきゃ私としては納得いかない。
言いたいことはほかにも山ほどあるのですが、まあネタバレにもなりますし、このへんで・・・
もういっかい言いますけど、
小説としては、すばらしい小説です。
皆さん読みましょう。
原作者の荒木さんが絶賛してる時点で、私なんかが文句言ってもしょうがないです。
にしても、ミキタカ出てきて欲しかったなあ・・・
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コメント
こんばんは。私も読みましたTheBOOK。
けっこう手放しで満足したクチなんですが、早瀬さんの仰ることは「なるほど、そう言われればそうだなぁ」と納得する部分が多々ありました。
特にエピローグが蛇足というのは同感です。あそこまで無垢な人物にあんなに一方的な「業」を背負わせておきながら、美談にまとめようとしてるのは、ちょっとJOJOらしくないかな、と思いました。
あの人物構成だったら、むしろ1部っぽい展開の方が似合っていたのでは、とも思います。
投稿: あっかー | 2008年4月21日 (月) 22時41分
あっかーさん今晩は。
「記録者」の立ち位置と蛇足エピローグはちょっとどうかと思ったんですよねー。
あっかーさんのおっしゃるように、
「なんでここに来て美談でシメちゃうの?」
と、かなり疑問でした。
なんか、ファイナルバトルのあたりからエピローグまで、「ものすごく急いで終わらせました」という感じがして、中ごろまでがものすごく丁寧な進行だったので、少しだけ残念に思いました。
でも全体を通しては、本当に魂ゆさぶられる、いい小説でした。(そこは力説!)
投稿: 早瀬五郎 | 2008年4月22日 (火) 00時39分