短編集「殺人鬼」を読み終わりました。
ネタバレ・ダメな人はカレーにスルーでお願いします。
殺人鬼
黒蘭姫
香水心中
百日紅の下にて
の4本です。フンガッフフ=3
関係ないですが、フンガッフフで検索すると、100件以上あり、少しあせりました。
殺人鬼
探偵小説化八代竜介の視点で物語は進みます・・・というと、「夜歩く」と同じ構図になりますが(あちらは小説家屋代寅太)、叙述ミステリではありません。
わりと普通のミステリでした。
・美しい人妻。
・殺される亭主。
・人妻につきまとう不気味な男。
・人妻を助けようとして殺されかける八代。
・田舎から出てきた不気味な男の姉。
・八代を救いに来る金田一。
こんな感じです。
わりと古臭いオーソドックスな読み物かと思いきや、「主人公八代」と「みせかけの不気味な男」を差し置いて、殺人鬼ふたりの壮絶な殺し合いの物語です。
利害の一致だけで組んでいた殺人鬼ふたりが、足がつかないように、お互いを殺し合う。
「自分にとって少しでも用の無い者は殺せ」というこのふたりの殺人鬼に、読んでいて薄ら寒い気分になること請け合いです。
短編の中ではかなりグンバツな出来。オススメです。
黒蘭姫
大手百貨店に現れる黒蘭姫というベールを被った万引き常習犯は、お店から咎められる事無く万引きを続けていく。
なぜお咎め無しなのかは事情があるのですが、その事情を知らない新任のフロア主任が黒蘭姫を詰問中に刺殺されてしまう。
と同時に百貨店内の喫茶店で前任フロア主任の死体も発見される。
ふたつの事件につながりはあるのか?
黒蘭姫のフリをして殺人を犯すのは誰なのか?
という内容ですが、カンの良いひとは、わりと早い段階で犯人を特定できるはずです。
サラサラっと読んでしまいましょう。
香水心中
ザ・タイトルがすべて!
まあ、タイトルどおり本当に心中だったら金田一が出てくる必要も無いわけですが殺人事件だとしても、
・片方がもう片方を殺して自殺したのか?
・全然別な人がふたりを殺したのか?
の2択くらいしか無いわけです。
なぜ遺体には気分が悪くなるほど香水が振りかけてあるのか?
その謎も、そんなにヒザを叩くほどの種明かしもありません。
これもサラサラ読みましょう。
百日紅の下にて
これ、1回、記事にしましたね。
ひとつ補足します。
全作品を見たわけでは無いので推測ですがこの作品だけ、金田一と聞いてだれもが想像するあのコスチューム(ハカマ姿にお釜帽)ではありません。
また、この話だけをポンと読まされると最後の数行くらいになるまで金田一モノと気付かない可能性もあります。
戦前の事件当事者のところに、復員船からそのまま来たような復員服姿の男がやってきて、戦地で友人に聞いた話から推測するに、あの事件はこういう筋書きになっていて、犯人は○○さんです。
と謎解きをする。当事者の「あなたは誰?」の問いかけに(このあたりで物語完結まであと数行)、
「私は金田一耕助。次の場所に行かねばなりませんので、これで」
そういい残して男は次の土地へ向かった。
獄門島へ。
このクロージングが最高にカッコイイ!
私は現場主義なので、こういう安楽椅子探偵のパターンは好きでは無いのですが、この作品だけちょっと別格です。
というようなわけで、トータルバランスで、この短編集「殺人鬼」はかなりオススメできると思います。
さて、不死蝶読みますよーー!
例によって、続きはスルーで。
m(_ _)m
_
最近のコメント