獄門島へ帰る
東京旅行の帰り、新幹線は広島まで4時間ほどかかりますので、時間つぶしに小説を買いました。(帰りの新幹線と、家についてからとで、結局読みきってしまいました)
秋といえばミステリ小説ですよ。
と去年の秋にディクスン・カーなんて読んで激しく失敗※してますので、おとなしく和物で金田一耕助シリーズの「獄門島」を品川駅の書店で購入致しました。
横溝正史さんのシリーズは、はるか昔に読んだきりで、後は折々映像作品が出ますので、それで補完していたのですが、ちょっとウズウズしてきて、各作品読み直してみようかなと思っているところです。
※ディクスン・カーがダメと言ってるわけではありません。私の知識が足りないというだけのことです。
読み始めてビックリしたのですが、私の居所「呉」の地名が出てきます。
冒頭、鬼頭千万太君(きとう ちまた)の遺志を受け、金田一が獄門島へ行く船の中、物語の鍵を握る人、了然和尚に会います。
この了然さん、戦時中、呉にとり上げられていたつり鐘※を終戦にともない引き取りにいく手続きをしての帰りとのことです。
※鋳潰して兵器の材料とするため。
工エエェェΣ(゜Д゜ノ)ノ
あの「無残やな 兜の下の きりぎりす」の見立て殺人で使われるつり鐘、呉にあったの?
昔読んだ時は、そんなこと少しも気にとめてなかったーー!
昔の私め、きっとプロローグあたりなんで、さらさらと読み流したに違いない!
了然さん、呉に来たんだ・・・
(いや、実在の人物でないことは重々わかっておりますが)
獄門島を読んだ事ない人は、是非読んでください。
了然さんどんな思いで呉まで来たんだろう。
鐘の大きさなどを確認しながら、
「本鬼頭の千万太君が生きて帰れば、まだ・・・」
などと思ったに違いない。
なのに、帰りの船で千万太の遺言を聞いたという男(金田一)に出会ってしまった。
あまりネタバレするようなことは書けないですが、この小説「獄門島」で残酷な殺人を行う犯人はそのタイトルに似つかわしくない、フェアプレーの人です。
最初の殺人「鶯の 身を逆さまに 初音かな」の時など、もう自白じゃないのか?というくらい金田一に色んな事を正直に話しています。それが余計に金田一に混乱を招く。
このへんの構成の上手さ、改めてため息が出ます。
名作と言われる小説に、ほんのわずかでも呉が参加していたことに、変な感動を覚える早瀬五郎なのでした。
次、何を読もうかなあ・・・「八ツ墓村」かなあ・・・
ちなみに2つまで書いたので、本作の3つの見立て殺人最後の1句も書いておきます。
「一つ家(や)に遊女も寝たり萩と月」
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コメント
金田一耕介は全巻持ってたんですけど、売っ払っちゃったんですよねー。もう殆ど憶えてないし、とっておけば良かったっス。
私はこの間、「笑う怪獣ミステリ劇場」というのをタイトル買いで買って読んだんですが・・・・・・・・あー・・・・・・尾骶骨が砕けるくらいつまんなかったです。怪獣モノとしてもミステリとしてもヘロヘロで、作者が何書きたかったんだかよく判んない代物でした。
投稿: misodrill | 2007年9月19日 (水) 00時10分
私の中で、「ミステリ小説といえばmisodrillさん」というイメージがありますが、やはりかつてはハマったクチなんですね♪
コメントありがとうございます。
さすがに私も金田一全巻は制覇してないです!スゴイ!
秋の夜長に金田一はいいですよー。
全巻持ってたんでしたら、ちょっとずつ読み直してみません?
もう、ほんとに忘れていることだらけですよ。
「あー!この時点で犯人、こんな事いってる!!」
みたいな驚きがあります。
私、今「不死蝶」を探しているところです♪
笑う怪獣ミステリ劇場というのもちと気になりますが、みそさんのコメントみて取り合えず様子見することにします。
投稿: 早瀬五郎 | 2007年9月19日 (水) 19時00分
貸してもらった獄門島読み終わりました。
感想はというと・・「多いよ」
何がとは言いませんが、こんなにいていいのか!?ってな感じで。また買ったら貸して下さい!
投稿: 夏侯 | 2007年9月20日 (木) 08時51分
夏侯さんさすが読むのが早いですね。
確かに「多い」作品ですね。
そこが読む人の予想を裏切る部分で良いですよね?
「まさか、こんなことになっていたとは!」
と初見の人は思うことでしょう。
次も手に入れました。メジャー級では無いですが、トリックで言えば、シリーズ最高傑作です(主観)。
読んだらすかさずお貸ししますよ。
投稿: 早瀬五郎 | 2007年9月20日 (木) 18時46分