青丹よし

「鹿男あをによし」という本を読みました。
極力注意して書いておりますが、ネタバレの可能性もあるので、この本を先入観無しで読みたいという人は、以降の記事を読まないほうが良いと思われます。
あ、そうそう、あのドラマも終わりましたので、地味にブログ復活します。

以前から気にはなっていたのですが、時間が無くスルーしていたものの、色々とヒマになり、思い切って今日、書店で購入いたしました。
ジャンルは何なんだろう。
要約すると、
「女子高に赴任した先生が剣道部を建て直しつつ、日本沈没を未然に防ぐお話」
です。

ファンタジー小説だろうか。「坊っちゃん」のような風情もある。
弱小剣道部の建て直しのあたりはジュブナイルのように読めない事もないけど、全体的にはＳＦ小説のような気がする。
つかみどころのない小説です。
しかしこんな面白い本、途中で辞められるわけがない。
３９４ページもあったのですが、ついさっき、イッキに読んでしまいました。推定４時間弱？
「無茶苦茶泣ける」とか「ハラハラドキドキする」ということは特にないのですが、じんわりと攻めてきます。
あ、でも剣道部が優勝できるかどうかという展開の所は実は迫り来る日本沈没と直接的には関係ないところなんですが、素直に手に汗握るし感動します。

第１章の１行目から巧妙に張られている大小様々な伏線を後半一気に畳んでいくダイナミズムが凄すぎる。

神経衰弱
奈良公園の鹿のお辞儀癖
藤原君の無駄に多い説明
しけた不味いかりんとう
鹿せんべい
リチャードの研究
三角の正体
マドンナ
南場先生
部員３人の剣道部を５人団体戦で優勝させる
女子生徒堀田の変容
松尾芭蕉
ポッキー
勾玉
女子生徒堀田の最後の大仕事

こういう、まったく関係なさそうなキーワードを全て結び付けて後半で収束させていく。
もう驚きとしか言いようが無い。
それだけではなく、登場人物の細かなリアクション一つ一つを後半の謎解き部分で全部丁寧に説明していって、なお物語りとして破綻していない。
久々に、良い本にめぐりあいました。
著者はこれが２作目とのこと。
１作目の「鴨川ホルモー」も近日中には入手しなければ！
にしてもどこまで中身を推察させないネーミングセンスなのか・・・