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2010年8月10日 (火)

残り91話となりました

宮部みゆきさんの「あんじゅう」を読み終えました。先に読んでいた「おそろし」の続編です。
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袋物屋の三島屋に事情があって身を寄せている娘おちかさんが江戸中から集めた怖い話を百話になるまで聞いていく・・・という筋は前作から同様。
全部で百物語らしいですが、「おそろし」で5話、「あんじゅう」で4話。残り91話。・・・あと30年くらいかかりますかね。

あらすじ【あんじゅう】
第六話『逃げ水』
村を襲う日照り神に取り付かれた少年は、自分の意志とは裏腹に周囲の水を干上がらせていく。周りの大人はその呪いに悩まされるが、少年はなぜか日照り神と仲良くなり・・・
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第七話『藪から千本』
夭逝した双子の姉を模した人形を家族は大事にしたが、残された妹に良い事があるたびに、人形に無数の針が立ち、妹には針の跡のように発疹が出る。

第八話『あんじゅう』
前作第二話、第五話に登場したのは屋敷幽霊。第八話に登場するのは屋敷の暗闇に潜む人ではない獣「暗獣」。

第九話『吼える仏』
坊主のふりをして托鉢行脚にまわる破壊僧がまぎれこんだ村。閉鎖的な因習が村の若者を魔人に変えてしまう。

前作「おそろし」に関しては心底ヤバイ話のオンパレードでしたが、今作「あんじゅう」にて少しバラエティーに富んで来ました。第六話『逃げ水』は周囲が拍子抜けするほど「ひとりぼっちで寂しいたたり神と共存していこうと考える少年」の少しだけ切ない感動話(水がどんどん干上がっていくというのは充分怖い話ですが)。
第八話『あんじゅう』は人間と人間で無い物の互いを愛するがゆえの別れの話。
本自体のタイトルにもなっているだけあって、あんじゅうには作者の力がこれでもかというくらい入ってます。
読んでて目から水がいっぱい出てくる。止まらない。
暗獣が健気過ぎて目からいっぱい水が出る。

その分、第九話『吼える仏』が割りを食った気がしないでもない。物凄く怖い話ですが、ページ数的にも『あんじゅう』の8割程度で、サーっと駆け抜けていった感じ。もう少し「魔人になってしまった村の若者」の心の変化を掘り下げて欲しかった。

宮部さんも狙っておられるのだろうと思いますが、三島屋のおちかに話を聞かせにくる人達のキャラがびっくりするほど被りません。
第一話:建具商の主人
第二話:鍵屋の娘
第三話:おちか本人
第四話:さる商家の若妻
第五話:屋敷幽霊
第六話:質屋の丁稚
第七話:針問屋夫人
第八話:学習塾の若先生(本職は侍)
第九話:偽坊主

よくこれだけ老若男女、多様な職業を集めたもんだと感心しました。そのうち「お忍びの奉行」とか「お忍びの将軍」とか出てこないかなあ。あ、でもそういえば話の中に出てくることはあっても話者自身が十手持ちとか岡っ引きというのはまだ無いですね。食い物屋も出てきてない。宮部さんにしてはかなり珍しいことです。いや、その2職業は満を持してということなんでしょうか?

色々書きましたが、面白かったです。分厚い本でしたがサクっと読んでしまいました。
早く残り91話が読みたい。

↓この動画のナレーション、宮部みゆきさんご自身だそうですよ。豪華ですね。

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コメント

あと何年かかるのか、そして全部そろえたらどんだけ本棚を埋め尽くすのか。
手放せないんですよね、宮部さんの本は。
語り手に差配人とか出ないですかねぇ

投稿: 夏侯 | 2010年8月11日 (水) 22時37分

夏侯さん、良い本をありがとうございます!
宮部さんの時代小説は読み始めると止まりませんねー。
文庫本になったとしてもおそろし2冊、あんじゅう2冊くらいにはなりそうですね。本棚いくつあっても足りませんね。
語り手に差配人、いーですねえ。長屋がらみの怪談なんでしょうね。
あと話が増えるほどに、おちかさんの周りにサブキャラが増えていくのも気になります。最終的に200人くらいが三島屋周辺でウロウロしてそうです。
とにかく宮部さんには早く次を書いて欲しいです。

投稿: 早瀬五郎 | 2010年8月12日 (木) 01時27分

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