« 真剣な試験 | トップページ | イカリ新人「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」 »

2010年6月 8日 (火)

死んだ犯人と真犯人

Zm100608
クリスティーさんの「無実はさいなむ」を読みました。特定の探偵の出てこない「素人探偵シリーズ」です。
無実の罪で獄死した人物と事件当時行動を共にした主人公が「あの人は無実でした。私が証人になります」と事件から数年立って現れるところから物語は始まりますが、それって結局

「・・・だから真犯人はこの中にいるんですよ」

と告げるようなもので、しかもその犯人の正体と動機は当初思いもしなかった方向へ・・・という非常にひねった構成。
これは・・・傑作なのかもしれない。壮絶にトリッキーな内容です。初読で犯人を当てられる人間はまずいないはず。

あらすじ【無実はさいなむ】
慈善事業に尽力する資産家の夫人が殺された。犯人は彼女が養子として迎え入れた5人の戦災孤児のうちのひとりジャック。誰からも疎まれ嫌われていたジャックは無罪を主張するが、「犯行時刻、ヒッチハイクをした」というアリバイを立証できず、有罪判決⇒獄死。
しかし、事件から数年の後、「あの頃自動車事故に遭い、長いこと記憶喪失でしたが、確かに事件当時ジャックを車に乗せました」という男が現れた。
事件は振り出しに戻ってしまった。真犯人は残された人達の中に潜んでいた。

メインとなる登場人物は独善的過ぎて誰からも慕われなかった被害者とその夫、5人の子供。美人秘書、家政婦。
予想外の事件の骨格でしたねえ。ほんとうに残り十数ページになってはじめて事件の骨格が理解できました。
「無実の罪で獄死」というと、五匹の子豚にも出てくるギミックですが、あの事件は獄死した当人のキャラクターはさほど事件の骨格と関係は無かった。犯人と被害者のキャラクターこそがあの事件の骨格でした。
しかしこの無実はさいなむのジャックのキャラクターは事件を解決する上で重要なファクターとなり、彼の人物像を抜きにして事件解決はありえない。
むしろ被害者自身の素性はそんなに重要ではなかったりします・・・

そこが、コレまで読んだどの推理小説にも合致しなくて、新鮮で素晴らしかったです。

しかし、やっぱり気になるのが、どーーーーーーーーーーしても物語の最後にミニ恋愛が入ってハッピーエンドに持って来るんですよねえ。そこは個人的に萎える。そこ別に無くてもミステリ小説として充分な内容なのに・・・ちょい残念。

今後の予定。
とりあえず読書班が快調なんで、イヤダイヤダ言ってないで、ビッグ4を読んでみようかな???ウヘェってなるのわかってるんで、口直しにナイルに死すも添えて・・・

|

« 真剣な試験 | トップページ | イカリ新人「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」 »

読書班-アガサ棚」カテゴリの記事

コメント

個人的には、ミニ恋愛、好きです(笑)
どの作品だったか、ラストの大団円シーンが気に入らないものもありましたが・・・。
ミニ恋愛は、王道少女漫画の匂いがするので、ダメな方はダメなのかもしれないですね。確かに蛇足ではありますし・・・。
でも二人の仲がどうなるのか気になるので、そこもきちっとケジメつけてほしいみたいな(笑)

投稿: かもねぎ | 2010年6月11日 (金) 14時24分

かもねぎさん今晩は。
ミニ恋愛、わりと衝撃的な結末の作品だと、若干ショックをやわらげてくれますので、無ければないで殺伐とした読後感になるんでしょうねえ。

>そこもきちっとケジメつけてほしいみたいな

あ、そうですねえ、そう言われれば!
イイカンジにコンビを組んでる二人は、くっつくなりふられるなりして終わってもらったほうが後味スッキリなのかもしれないですね。
今作は若干、強引にくっつけた感があるのですが^^;
そもそもデビュー当時のクリスティーさんは「若い男女が軽口を叩きあいながら冒険を繰り広げていく」という作劇を得意にしてましたんで、ついラストで入れてしまうのかもしれませんね(笑)

そろそろビッグ4あたりに行ってみたいと思います(^w^)

投稿: 早瀬五郎 | 2010年6月11日 (金) 20時49分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/138294/35140207

この記事へのトラックバック一覧です: 死んだ犯人と真犯人:

« 真剣な試験 | トップページ | イカリ新人「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」 »