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2010年5月14日 (金)

自己否定自己肯定

クリスティーさんの「春にして君を離れ」を読みました。
厳密に言うとクリスティーさんがメアリ・ウェストマコットという変名で書いていた普通小説です。
※当時ミステリーの女王だったクリスティーさんが、読者に変な印象を与えないため、普通小説を書くときだけ、変名を使ったそうです。

というわけで、本作では殺人事件も起きませんし、もちろん真犯人なんか存在しません。

あらすじ【春にして君を離れ】
バグダッドに住む娘夫婦宅からイギリスへの帰宅途中だった中年夫人は、交通機関の連結ミスにより、砂漠の寄宿舎で3日ほど留め置かれた。膨大な何もない時間を消費するため、彼女はこれまでの充実した実りある人生を振り返ったが、よかれと思って行ってきた選択、夫への献身、子供への愛が自己弁護と逃避に満ちたひとりよがりに過ぎないことに気付いてしまう。

ミステリー小説では無いのですが、普通小説とも言いがたい内容でしたよ。
ホラーのようにも思えます。

「春にして君を離れ」の主人公の行動、ものの考え方、他人への自分の意見の押し付け、もうすべてに対して「正直ヘドが出る」ほど読んでいてゲンナリするんですが、主人公が「いや待てよ?」と思い始めてからの破滅感がハンパ無いホラーとスペクタクルで、俄然読み物として面白くなってきます。

読む人によって感想は違うかもしれませんが、広く一般的には「間違った価値観」の主人公が、「正しくあるべき価値観」に気付き、そこから改心して・・・

というのが普通の作家さんの普通の小説なんですが、クリスティーさんですからね。タダで終わるはずは無いのです。

広いところに出るのを嫌がった主人公は、何もない広大な砂漠でいやおうなしに全てをさらけ出され、生まれ変わったかに思われたが、やはり何者か?によってまた狭い自己肯定の塔の中に閉じ込められてしまった。

残酷な小説でした。
引き続き、気楽な(?)ミステリー「青列車の秘密」を読みます。予備知識が無いんですが、あの大作「オリエント」バリの密室モノですか?

以下、ひさびさ備忘録
結構読みましたね。

今、猛烈に「ナイルに死す」が読みたい!

☆:読んだ ★:昔、読んだ 無星:読んでない
01:スタイルズ荘の怪事件:☆
02:ゴルフ場殺人事件:☆

03:アクロイド殺し:★
04:ビッグ4:★

05:青列車の秘密
06:邪悪の家
07:エッジウェア卿の死
08:オリエント急行の殺人:☆
09:三幕の殺人
10:雲をつかむ死
11:ABC殺人事件:☆
12:メソポタミヤの殺人
13:ひらいたトランプ:☆
14:もの言えぬ証人
15:ナイルに死す:★
16:死との約束:☆
17:ポアロのクリスマス
18:杉の柩:☆
19:愛国殺人:☆
20:白昼の悪魔:☆
21:五匹の子豚:☆

22:ホロー荘の殺人
23:満潮に乗って:☆
24:マギンディ夫人は死んだ:☆
25:葬儀を終えて:☆
26:ヒッコリー・ロードの殺人:☆
27:死者のあやまち:☆

28:鳩のなかの猫
29:複数の時計
30:第三の女
31:ハロウィーン・パーティ
32:象は忘れない:☆
33:カーテン
34:ブラック・コーヒー
35:牧師館の殺人
36:書斎の死体:☆
37:動く指☆
38:予告殺人:☆
39:魔術の殺人:☆
40:ポケットにライ麦を:☆
41:パディントン発4時50分:☆
42:鏡は横にひび割れて:☆
43:カリブ海の秘密:☆
44:バートラム・ホテルにて:☆

45:復讐の女神
46:スリーピング・マーダー
47:秘密機関
48:NかMか:☆
49:親指のうずき:☆

50:運命の裏木戸
51:ポアロ登場:☆
52:おしどり探偵:☆

53:謎のクィン氏
54:火曜クラブ:☆
55:死の猟犬
56:リスタデール卿の謎
57:パーカー・パイン登場:☆
58:死人の鏡
59:黄色いアイリス
60:ヘラクレスの冒険
61:愛の探偵たち
62:教会で死んだ男
63:クリスマス・プディングの冒険
64:マン島の黄金
65:ブラック・コーヒー(戯曲版)
66:ねずみとり
67:検察側の証人:☆
68:蜘蛛の巣
69:招かれざる客:☆
70:海浜の午後
71:アクナーテン:☆
72:茶色の服の男:☆

73:チムニーズ館の秘密
74:七つの時計
75:愛の旋律
76:シタフォードの秘密:☆
77:未完の肖像
78:なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?
79:殺人は容易だ:☆
80:そして誰もいなくなった:☆
81:春にして君を離れ:☆
82:ゼロ時間へ:☆

83:死が最後にやってくる
84:忘られぬ死
85:さあ、あなたの暮らしぶりを話して
86:暗い抱擁:☆
87:ねじれた家:☆

88:バグダッドの秘密
89:娘は娘
90:死への旅
91:愛の重さ
92:無実はさいなむ
93:蒼ざめた馬:☆
94:ベツレヘムの星:☆
95:終わりなき夜に生れつく:☆

96:フランクフルトへの乗客

追記
記事を投稿して、誤字脱字など無いか実際のブログで読んでいたんですが、↑この作品リストのところを何気なくよんでると、欽ちゃんの仮装大賞の受賞前が頭のなかで繰り広げられました。

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