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2009年4月27日 (月)

ノックスの10回クイズ

タペンス「アリバイて10回言ってみて」

トミー「アリバイアリバイアリバイ・・・」

タペンス「ところで今、何問目?」

トミー「クイズが変わっとる!」

どうでもいい開幕ですみません。
クリスティさんの作品、立て続けにいくつか読んだのですが、記事にするの忘れておりました。
それくらい面白いんです。
すぐ次が読みたい。
未読がかさんでいくのではなく、既読がかさんでいくという、嬉しい悲鳴。

さて、先に読んでおいた「おしどり探偵」の感想はすこし後回しにして、「シタフォードの秘密」から。
特定の探偵の出てこないシリーズの1作です。

※重大なネタバレは致しませんが、少しの予備知識もごめんだ!という人は以降読まぬが吉。

あらすじ【シタフォードの秘密】
豪雪により下界と隔絶されたシタフォード村の山荘に集まった近隣の住人達の間で余興に行われた降霊会で、
「ふもとの村の老大佐(シタフォード荘の家主)がたったいま殺された」
とのお告げが現れる。
老大佐の友人バーナビー少佐が車も通行できない大雪の中2時間かけてふもとまで降りて確認すると、実際に老大佐は居宅にて撲殺されていた。
医師の診断によると、死亡時刻はまさに降霊会で大佐の死亡が告げられた時間。
犯人の動機と不可能犯罪を可能にしたその手段とは?

「トリックが斬新」と評判の作品ですが、個人的な感想を言えば、そーーーんなに斬新というわけでは無いと思います。
いや、充分「アッと驚く」方法で犯人は・・・

えーーと、そのまえに、「ノックスの十戒」というミステリーでやっちゃいけない、もしくは守らなければならない10の項目というのがありまして。
若干現在の倫理その他に照らして「その項目はどうなんだろう」というのが無きにしもあらずですが、大項目としてうなずけるもののひとつに

1.犯人は物語の当初に登場していなければならない

というのがあります。
間違っても大長編物語の残り2ページくらいで初登場の人物が犯人であってはいけないのです。
いや、そんなのがあるんですよ本当に。

で、さっきの話に戻りますが、犯人は降霊会に参加していた5~6人の中にいなければなりません。

「余興の最中にちょっと抜けてゴルゴさんなみの命中精度で、遠距離の大佐の後頭部へ鈍器を命中させる」

という超常現象じみたトリックもありえません。
悪霊が飛んでいって殺害なんてもっての他です。

注意深く読んでいると、

途中「アッ」と声が出る瞬間があります。

クリスティさんはこのへんが非常に上手いといつも思うのです。
読者の裏をかきすぎて、解決編で探偵が説明を始めてもよく飲み込めない内容ではいけません。
徐々に徐々に、読み手に気付かせなければ「いいミステリー」とは言えないと、私は思うのです。

シタフォードの秘密は他作品と比べ犯人の動機が弱い気もしますが、同一時間帯に交通手段の経たれた2箇所に同時に存在する犯人、それを味わうだけでも充分であると思います。
もちろん「終わりなき夜に生まれつく」や「オリエント急行の殺人」の犯人の意外性と情感には遠く及ばないし、「そして誰もいなくなった」の圧倒的な不可能感にも遠く及ばないのですが、そういう怪物作品と比べるのはちょっと酷というものです。
ワンアイディアミステリーとして、さらっと読むのにちょうど良い傑作だと思います。

「おしどり探偵」は今読んでいる「親指のうずき」(←ものすごい面白いです!痺れるゥ睡眠時間無くなるゥ)を読み終わってからまとめて記事書きます。

ポアロでもない、マープルでもない、ついに登場、夫婦探偵!

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