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2007年11月 5日 (月)

グラビアアイドル

さて金田一耕助作品読んでまえシリーズですが、

悪魔の手毬唄、読み終わってしまいました。

いや、これでも
「さすがに1日でイッキ読みはいかんだろう?」
と3日くらいにわけて読みました。
個人的意見ですが、「見立て殺人推理小説」最高峰であろうと思います。

今回原作を読み直すまでは、アガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」が私の中で見立て殺人推理小説1位だったのですが、手毬唄ブッちぎりです。獄門島も霧の彼方。(ヴァン・ダインの僧正殺人事件は未読。このへんが、ミステリ初級を名乗るゆえん)

はるか昔とはいえ、手毬唄に関しては、原作を読んだ事もあるし、石坂版、古谷版(しかも古谷版はTVシリーズ版、2時間ドラマ版の2バージョン)、片岡版と、映像作品も見てきたわけです。

犯人も知ってるし、大まかな伏線、驚愕の事実も全て知ってるわけですよ。

それでも唸らずにはいられない。

映像だと、犯人に対する同情が集まるようなつくりになっております。
磯川警部(作品によって等々力さんになったりしますが)の思いもせつない。

でも、今回、少し理解できました。
犯人は悪魔だった。
つらい境遇に押しつぶされた、悪魔だった。

最後に犯人に殺された被害者の事を思うと、胸が痛い。
判っていながら遺体が発見されるシーンで、少し泣きそうになりました。

テレビや映画といった作品ではサラッと流されておりますが、

犯人が守りたい者を思うあまり取った一連の行動は、すべてその守りたい者へダメージとして返ってくる皮肉。

犯人は都合5人の人間を殺害しますが、実は何もしなければそれなりに幸せな人生だったかもしれない。

原作を読むと、そういう部分が見えてきて、単純に同情で終わらないし、映像作品以上に悲しい犯人だなあと感じました。

悪○島の100倍は読み応えあった!

さて記事タイトルのグラビアアイドル大空ゆかりですが、古谷一行さんバージョン(TVシリーズの方)では夏目雅子さんです。

三蔵法師よりも前です。

ピチピチギャル(昭和死語)だったころです。

因習に囚われる田舎を追われるようにとび出し、都会で成功して、田舎に御殿を建て、凱旋してくる大空ゆかり。
記憶無いなあ・・・ただ、原作のイメージとはピッタリです。

それ以外の配役は、石坂さん@映画版がベストだろうと思います。

磯川警部:若山富三郎
豪華すぎるでしょう、この配役!ちょっともったいない気も・・・
ただ、原作を読む限り、磯川警部は「悪魔の手毬唄」の準主役なんでこれくらいの人がやらなきゃ締まらないかも。

※手毬唄の主役は私の個人見解では犯人その人。ストーリーと犯人を知ってる人にはご理解いただけるはず。金田一は今回も脇役。

青池 歌名雄(あおち かなお):北公次
ここにきて昭和の木村拓哉登場!
ピッタリ!「母ちゃん!母ちゃん!」という身を切るような絶叫が一番似合う。間違っても石黒賢さんや、加勢大周さんのようなマイルドさがあってはならない!
まさに「にっちもさっちもどうにもブルドッグ ワオ!」
・・・フォーリーブス、知らないですよね・・・

青池 里子(あおち さとこ):永島暎子
幸が薄すぎるぞ、この配役!
永島さん、フツウに立ってるだけで、薄幸オーラでていやしないか?
それにしても失礼な物言い。個人的に好きな女優さんなんです。

青池 リカ(あおち りか):岸恵子
※青池歌名雄、里子兄妹の母。
さすが映画なんで、ビッグネームがバンバン出ますね。
そうですねえ。悪くないなアと思ったのですが、色々調べてみると、片岡鶴太郎さんバージョンの青池リカ役がいしだあゆみさんとのこと・・・

いしだあゆみさんいいなあ!
細かい事言えないけど、いいなあ!
でも鶴ちゃん版は息子の歌名雄役が加勢大周さんだし、大空ゆかりと青池里子が牧瀬里穂さんの2役(この2役に意味は無い。・・・無いことは無いけど、やりすぎ!)だったりと、正直どうでも良い。

そしてすかさず昨日、古本屋で本陣殺人事件を買ってしまう、待ったが効かない早瀬五郎なのでした。
私の中で本陣殺人事件といえば、本田博太郎さん。「ミスター本陣殺人事件」と言ってもイイ。

続きを読む以降に、ネタバレというほどでは無いですが、読んでて一番鳥肌が立ったシーンを・・・







「悪魔の手毬唄」というタイトルが示すとおり、1番から3番まである手毬唄の内容通りに見立て殺人が行われていくわけです。
読者にはプロローグとして1ページ目から包み隠さず上記手毬唄が記述されておりますが、登場人物たちの前に手毬唄が姿を現すのは中盤以降です。

 うちの裏のせんざいに 雀が三匹とまって
 一羽の雀のいうことにゃ
 おらが在所の陣屋の殿様 狩好き酒好き女好き
 わけて好きなが女でござる
 女たれがよい枡屋の娘 枡屋器量よしじゃがうわばみ娘
 枡ではかって漏斗(じょうご)で飲んで 日がな一日酒浸り
 それでも足らぬとて返えされた、返えされた

と、同じ節回しで枡屋に続いて秤屋、錠前屋と3つの屋号の家の娘がそれぞれ返され(殺され)ていきます。

最初の犠牲者は滝坪に横死しているところを発見されますが、滝の支流を一度、一升マスが受け一升マスから溢れる水は遺体の口にくわえられたジョウゴが受けている。
「枡ではかって漏斗で飲んで」いる状態なのです。

先にも言ったように、事件が起こる村の人達も、担当の磯川警部も、探偵金田一も、そんな手毬唄の存在など、知らないのですよ。

最初の犠牲者の翌日、ふたりめの犠牲者も奇怪な見立てで殺害されている。

ひとり目の犠牲者の葬儀が終わり、あわただしく皆が二人目の犠牲者の通夜に向かおうとするなか、80を越える老婆が、金田一に「ちょっと気になることがあるので手毬唄を聞いてくれ」と言い出す。

誰もがこの場違いな提案に非難の声を上げるなか、老婆が歌い始めるのが、上記の手毬唄。

金田一ア然、村人騒然、読んでる私、鳥肌。居合わせた全員が、犯人の不気味さを知る瞬間です。

この登場人物へのネタバレのタイミングの良さ、唸らずにいられない。
しかもご丁寧に、老婆は3番を忘れている。
その歌には3番があるンだよ!錠前屋の娘「大空ゆかり@夏目雅子」が危ないんだよ!
読んでいる側は、ハラハラし通しなのです。(夏目雅子は余計ですが)

ここまで読んでいただいた方へ感謝を込めて、最後にもう少し。

今からはじめて読もう、久しぶりに読み直そう、という人は、「猫車」とか「祝儀不祝儀にまず駆けつける人」とか、細かな伏線も見逃さないでください。

A=c
B=c
なら
A=B

という事も、忘れないでください。

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コメント

人面そう読み終わりました。そうの字が変換できませんでした・・。ゆっくり読もうと思ってたんですけどね。しかし江戸時代物よりもわからない名詞が多いってのはどうなんでしょうね、現代人としてw
等々力さんの読み方もわかりませんが・・・次、楽しみに待ってます!

投稿: 夏侯 | 2007年11月 6日 (火) 12時40分

夏侯さん今晩は。
やはり読み終わりましたか。
悪魔の手毬唄はいつでも貸し出し準備OK状態です。
お楽しみに!

ちなみに等々力警部さんは「とどろき」です。
映像作品なんかでぽーんと手を打って
「よぉおし!ぅわかっタ!」
て全然見当違いな推理を披露する困った人です。

読み方が難しいのは横溝作品の一つの特徴ですね。
「犬神家の佐清さん」
と言われてもピンと来ないでしょうが、
「犬神家のスケキヨさん」
ていうと、大概の人に通じると思います。
上記記事も、手毬唄の節回し的に「ろうと」ではなく「じょうご」と読まなきゃ味が無いんです。
「マスーではぁかあってロォートォでのーんで♪」
じゃ締まらないんですよ。

本陣殺人事件もサクサク読みますよ。
引き続きお楽しみに。

投稿: 早瀬五郎 | 2007年11月 6日 (火) 19時13分

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