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2007年11月13日 (火)

ピタゴラスイッチ事件

NHKのピタゴラスイッチという番組が好きなのです。
ビー玉を転がしたら、ドミノが倒れて、ストッパーが外れて滑車が動き~中略~最後に旗が立ったりする・・・

みたいなオートギミックを洗濯ばさみとかビー玉とか定規といった家庭用品で作ったしかけ遊びを見せてくれる番組です。
(ほんとうにそんな説明で良いのだろうか・・・)

番組内の1コーナー「ポキポキアニメ」のナレーションが草彅剛さんだという事に長い間気付きませんでした。

それ以外にも「ぼてじん」のフットボールアワー岩尾さんとか、「フレーミー」の井上順さんとか、声優陣はムダに豪華ですね。
アルゴリズム体操をやってる「いつもここから」の左の人が、時期によって太ったり痩せたりが激しくて、笑えます。ヒョロヒョロのときもあるし、スーツのボタンはじけ飛びそうなときもあるし。撮り溜めの膨大さ・歴史の長さが伺えます。

さて話は随分変わるのですが・・・

・・・本陣殺人事件を読み終わりました。

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ミステリマニアのみなさん、この一見ムダと思える書き出しを見て、本陣殺人事件をしらずとも、
「ああ、あのパターンですね?」
と思いを馳せてください。
たったこれだけの記述なら、ネタバレにはなっていないはず・・・
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この本陣殺人事件が、金田一耕助デビュー戦です。年も若く、20代半ば。
金田一さんはこの事件を解決して以後大きな事件を扱うまもなく徴兵されてしまいます。
で、戦地において鬼頭君、川地君と仲良くなり、終戦後すぐに川地君の無念を晴らすべく、ひとつ事件(百日紅の下にて)を解決しその足ですぐ瀬戸内の島(獄門島)へ。
なので、戦前の事件は本陣ただひとつのみです。

本陣殺人事件は、面白いか面白くないかではなく、金田一モノを読む人は、かならずどこかで読まなきゃならない作品です。他(「悪霊島」とか、「悪魔の寵児」とか)をはずしたとしても本陣だけははずせません。

デビュー戦から、常識を覆す予想外の真犯人・・・
ミステリマニアのひとからすると、
○○が犯人
△△が犯人
◇◇が犯人


というテンプレートがアタマの中にあるので、読み進めていくうちに

「ああ、『◇◇が犯人』のタイプだな?」

と思うわけですが、

「そんなにミステリ小説読まないっスよ」

という人は、この事件の真犯人にド肝を抜かれるはずです。

「なんでその人が犯人?」

と・・・

獄門島や八つ墓村の方が真犯人はまだ予想の範囲内と言えるでしょう。

真犯人の正体も凄ければ、トリックの在り方も壮絶です。
これだけの内容を盛り込みながら、実は本陣殺人事件は長編ではありません。
中編に少し毛が生えたくらいの分量です。

そんなわけでこの文庫本「本陣殺人事件」は実は「人面瘡」と同じくオムニバスです。

人面瘡のような短編集ではなく、本陣クラスの中編3本で構成されております。

「本陣殺人事件」
「車井戸はなぜ軋る(くるまいどはなぜきしる)」
「黒猫亭事件」

「車井戸はなぜ軋る」もかなりの怪作ですよ。
はじめ、少しだけ人物や背景説明がなされますが、あとは

ほぼ全編「17歳の女の子の手紙」を読まされる形

でストーリーが進行していきます。
陰惨な事件なのに、17歳の女の子のほのぼの手紙・・・

「お兄さま、このあいだのお手紙では取り乱したりしてごめんなさい。じつはあのあと・・・」

みたいな手紙を

延々読まされます(笑)。

あしながおじさんか!

面白いなあ。横溝さん、なぜこういう技法を思いつくかなあ。

本陣も車井戸も「剛速球でカーブ」そんな感じです。読んで損はありません。
ちなみにもう少し説明しますと、「車井戸はなぜ軋る」という小説の骨格部分はあの超・超・超有名金田一モノのプロトタイプという趣きがあります。

AとBというふたりの良く似た男が戦争に行って、ひとりは(推定)死亡、ひとりは帰って来たが、ふたりを見分ける特徴部分が戦中のケガで判別不能。
さて、帰ってきたのはA?それともAのフリをするB?

あの超有名な「金田一といえばコレ」という作品ですね。
お気づきの方も多いかも知れませんが、当ブログで「金田一シリーズ読んでまえ」と銘打っているにもかかわらず、なかなか五郎が読もうとしないアレです。
読まない理由は色々ありますが、まず一つは、手垢が着きすぎていることにつきます。
今更「読みました。私はこう感じました」みたいなこと書いてもねぇ・・・

まあ、いずれ読みます。

最後の「黒猫亭事件」ですが・・・これも怪作だなあ。でもある意味3作の中で一番王道ミステリかもしれません。
内容はともかく、登場人物に一人「日兆さん」という若いお坊さんが出ますが、30年くらい前の古谷一行さんのTV版で日兆さんを演じたのは、池田秀一さんです。

シ○ア・アズナ○ルよりかなり前です。

路傍の石のかなり後です。

「認めたくないものだなあ・・・若さゆえの過ちと(以下略」

シャ○「死体の顔の腐乱が酷くて、判別できないではないか」

兵士「顔なんて飾りです。偉いひとにはそれがわからんのです」

○ャア「被害者はもう出ないのか?」

兵士「保証できるわけありません!」

○○ア「はっきり言う(苦笑)。気に入らんな」

すいません。遊びすぎました。

作中冒頭にY先生という作家(明らかに横溝先生ですが)が出てくるメタ小説のような体裁になっており、そのY先生と金田一の会話が物語のヒントのような、ミスディレクションのような、面白い試みがあります。大半の人はここでひっかかり、あとでよみかえしてチクショウ・・となることでしょう。

中編3本ですが、本陣と車井戸は長編を整理した感じ。
片や黒猫亭は短編を少し引き伸ばした感じ。

好みは人それぞれで、本陣は別格なので判断が難しいですが、個人的には「車井戸はなぜ軋る」がオススメです。

そりゃ井戸もギシギシ鳴りますよ。



どうしても長くなりすぎちゃいますね。
続きを読む以降に、本陣殺人事件に関する、私の超個人的スリコミを・・・
※本当にどうでもいいことですので、読み飛ばしてください。

映像における本陣殺人事件は、
・古谷一行さんのドラマ
・中尾彬さんの映画

などを見た私ですが、この物語の中心人物「賢蔵」と「三郎」がどうしても私の脳内で

「本田博太郎さん」で再生されます。
「賢蔵」は現在の渋い本田さん。「三郎」はむちゃくちゃ若い本田さん。

なぜこのような記憶の齟齬が・・・と思い、ググッてみたところ本田さんは、むか~しの古谷一行さんのとき、三郎役を、少し前の片岡鶴太郎さんのとき賢蔵役を、と両方やってます。

だから私の脳内では「座敷で年齢の違う本田さんふたりが向かいあって座ってる」
んですね。

長年の謎が解けた・・・さすがホンダヒロタロス。侮りがたし。

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